イスラエル空軍が戦闘機やヘリにレーザー兵器搭載発注

イスラエル企業Elbit Systemsが開発受注を発表
技術的な詳細や具体的スケジュールは不明
地上設置型レーザー防空兵器「Iron Beam」は運用開始も苦戦中だが

3月17日、イスラエル企業Elbit Systems社が2025年会社決算発表会の席で、イスラエル空軍から戦闘機やヘリコプターに搭載するレーザー兵器開発を受注したと明らかにしました。ただ同発表を報じた18日付Defense-Newsは、発表した同社CEOのBezhalel Machlis氏が、受注したレーザー兵器事業の具体的スケジュールや受注したレーザー兵器の性能など技術的な詳細については触れなかったと報じています

末尾の過去記事でご紹介している様に、米空軍も2010年から2020年頃までは、戦闘機の自己防御用レーザー兵器や特殊作戦軍AC-130の地上攻撃用レーザー兵器搭載を検討していましたが、大電力の確保、機体振動の中でのレーザー発生装置の動作安定確保、気象条件の影響を受けるレーザー兵器の特徴、周辺へのレーザービームの影響と運用基準の設定等の諸課題から、開発を断念した経緯があり、17日のElbit社発表が話題を集めています

折しもイスラエルは、2月28日からのイラン攻撃の反動であるイランからの弾道ミサイルや攻撃ドローン攻撃対処に、高価で在庫が限定的な迎撃ミサイルを大量消費して厳しい局面にあると推測されていますが、2025年末から配備開始のイスラエル製の地上配備型防空用レーザー兵器「Iron Beam」(Rafael社:レーザー出力10~100kw)が、

電力さえ確保可能であれば無限に低コストで発射可能な特性を持ちながらも、有効射程が2~10㎞程度で防空網を形成するには大量配備が必要で、雨や雲の影響下では能力が低下する特性もあることから、イスラエル軍内でも世論へのアピールと低空防空システム「Iron Dorm」を補完する程度の役割しか期待されていないと言われる現実から、この「航空機搭載レーザー開発」報道が疑念を含む目で見られているようです

Elbit Systems社のCEOは17日の会見で、
●高出力レーザーを空中アセットに配備することで、地上発射装置で課題になっている雲や霧やホコリといった課題を克服できる。
●また、雲の上を飛行することで、(大気による減衰が減って)射程距離が伸び、より効果的な作戦が可能になる。つまり、国境より遠方に存在する脅威の排除も可能となる

●高出力レーザーは単なる防御兵器ではない(記事は、このCEO表現が、航空機搭載レーザー兵器の攻撃活用を示唆したものと解釈)
●航空機に搭載するために必要な技術開発は既に高度な段階にある。航空機への搭載技術が成熟し、実用化されれば、(ドローンの?)群れや他の脅威対処にbreakthroughをもたらす。
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米軍が2020年に戦闘機への自己防御レーザー搭載を断念して以降の技術進歩程度を把握していませんが、イスラエルの地上配備型防空用レーザー兵器「Iron Beam」の能力からみても、画期的な進展があったとは考えられず、Elbit Systems社による今回の「配備時期や性能等が不明確な」発表は、イスラエル政府と組んだ世論対策の側面が強いと「まんぐーす」は想像しております

2023年10月にイスラエルがハマスとの戦いに突入し、今更にイランと直接対峙する状態に至り、北はレバノン、南はパレスチナ自治区やイエメンのフーシ派、東はイランからの、弾道ミサイルやロケット弾やドローン攻撃をイスラエルは受け続け、世界最強クラスの戦闘機を含む防空体制やミサイル防衛態勢を保有しながらも、イスラエル一般国民に2~300名の死者が出ている現状から、軍として防御に「懸命に取り組んでいるアピール」をせざるを得ない状況から出た開発発表だと思うところです

なお、イスラエルは自衛隊以上の防空戦力やミサイル防衛装備を保有し、米軍からの防空装備支援も受けており、日本の国土面積の約1/20の狭いイスラエル国土に濃密&重曹配備しているにもかかわらず、これだけの被害を出している事を忘れてはなりません。

2025年末から配備開始のIron Beamご紹介
「湾岸諸国が関心」→https://holylandtokyo.com/2025/03/10/10859/
「100kw級でIron Beam試験成功」→https://holylandtokyo.com/2022/04/21/3143/

ダメだった米空軍の戦闘機搭載防御用レーザー兵器
「戦闘機防御用から撤退へ」→https://holylandtokyo.com/2020/07/03/564/
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holylandtokyo.com/2019/05/08/6731/
「2021年に戦闘機搭載めざし」→https://holylandtokyo.com/2016/02/25/7758/

音沙汰無し:特殊作戦軍AC-130への搭載の夢
「AC-130用兵器の企業地上試験終了」→https://holylandtokyo.com/2021/10/21/2332/
「特殊作戦軍がAC-130搭載構想」→https://holylandtokyo.com/2016/07/13/7588/

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