AC-130用レーザー兵器の企業地上試験終了で空軍へ提供

当初は2019年末までに搭載実用化予定だったが
今後空軍で機体システムとの融合や地上試験を経て飛行試験へ

AC-130 HEL2.jpg6日、米空軍特殊作戦軍のAC-130に搭載予定のレーザー兵器(HEL:High Energy Laser)を開発中のロッキード社が、米空軍による受領試験を突破したと発表しました

ロッキードの担当副社長が、「米空軍による受領検査の終了は、極めて大きな節目である」、「この成功の節目は、レーザー兵器開発の重要な進歩における、わが社と米空軍との協力関係の証である」と成果をアピールしています

米空軍は2019年初めにロッキード社と同機搭載HELの開発契約を結んでいましたが、HELを受け取った米空軍は今後、AC-130の他システムとの融合試験や、地上でHEL試験を経た後、飛行テストに進むものと考えられます

ただ、ここまでの道のりは順調ではなく、今後の道のりも、恐らく容易ではないと推測されます。

AC-130 105mm.jpgAC-130は、30㎜機関砲や105㎜キャノン砲のほか、AGM-176A GriffinやHellfireミサイル、更にGBU-39/小口径爆弾SDBを搭載可能な重武装航空機ですが、HEL搭載に向け、少なくとも2016年時点で既に、2019年末までの実用化に向け、30㎜機関砲や105㎜キャノン砲を取り外し、試験機用のクルーまで待機させて準備万端の状態だったのが、2021年10月の受領試験まで遅れに遅れたのが実態です

以下でご紹介する2016年6月時点の状況以降、今現在までの間に、何があったのかフォローできていませんが、「いけいけドンドン」だった当時の米空軍特殊作戦軍司令官の発言等から、レーザー兵器開発の難しさを感じていただきましょう

2016年6月のHeithold米空軍特殊作戦軍司令官(当時)発言
Heithold3.jpg●2020年までに、AC-130J特殊攻撃機に「HEL」を搭載する決意だ。既に試験改修用にAC-130を1機と搭乗員等を、ニューメキシコ州の基地に準備している
●当該AC-130は、レーザー兵器を格納するスペースを確保するため既に105mm砲を取り外し、またレーザー発射機用に、風の影響を受けて振動しない翼前方の30mm機関砲の取り付け位置を空けている

●まず攻撃用レーザーから先に着手し、開発リスクの大きい、敵の航空機や地対空ミサイルを撃退する防御用レーザー兵器は後にする

AC-130 HEL3.jpg●開発の進捗状況にもよるが、60~120kwのHELを、地上の静止した車両や航空機、携帯電話中継タワーのような通信基盤の攻撃用を想定して推進している

●我がコマンドは同兵器搭載のAC-130作戦運用コンセプトを非公開の形で取りまとめ、国防省内の関係部署が同コンセプトの戦術や技術や使用手順を吟味している
●我々は、戦術核兵器を扱うのと同様の注意を払いつつ、レーザー兵器の交戦既定を形にした

一方、Heithold司令官と同じイベントの場で
Pawlikowski6.jpg●米空軍の研究開発を所掌するMaterielコマンドのPawlikowski大将は、話題が先行がちなレーザー兵器の現状に注意喚起し、特殊作戦コマンドの計画を用心深く支援する姿勢を示し、この様な複雑なシステム開発に猪突猛進することに警戒感を表した

 

Gunzinger3.jpg●CSBAのMark Gunzinger研究員は、適正な資金が確保できれば2020年までにプロトタイプの作成は可能だろうとの見方を示す一方で、実験室で完成していても、それを機内に搭載するには多くの技術的課題を克服する必要があると述べ、10年以内に可能かと聞かれればイエスだが、正しく、そして時間をかける必要があるだろう、とコメントしている
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AC-130-flare.jpg今後の予定について11日付Defense-News記事は何も触れていませんが、今年いっぱいで米空軍が機体システムとの融合や地上試験を行い、来年早めに飛行試験へ進みたいところでしょう。

ただ、精密機材であるレーザーは、機体の振動との相性が悪い様で、予断を許さないと想像いたします。米空軍関係者のコメントが記事に含まれていないことからも、そんな気がいたします

エネルギー兵器関連
「米議会がレーザー兵器に懸念で調査要求へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-08
「戦闘機防御用から撤退へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-01
「空軍が無人機対処に電磁波兵器を試験投入」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「エネルギー兵器での国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「エネルギー兵器とMD」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「レーザーは米海軍が先行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24
夢見ていた頃
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業、30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1

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