それでも湾岸諸国はイスラエル製レーザー兵器に関心

湾岸諸国は高コスト負担のミサイル&無人機防衛に苦悩
今年配備予定のイスラエル製「Iron Beam」に興味津々
2月UAE開催の兵器展示会に最新版ブース展示で話題に

2月14日付米空軍協会web記事は、ガザ地区を中心としたハマスとイスラエルの戦いの傷跡が生々しく、アラブ諸国とイスラエルの関係が微妙な状態にある中でも、2月17日から21日にUAEのアブダビで開催された中東地域最大の世界的兵器見本市IDEX2025に、イスラエルのラファエル社が開発中で、2025年イスラエル配備予定のレーザー防空システム「Iron Beam」が展示され話題を集めていると紹介しています

記事は、この時期にイスラエル製兵器に「表立って」手を出す政治的リスクをとる中東湾岸諸国は存在しないが、イスラム過激派が繰り出す安価なドローンやロケット弾や弾道&巡航ミサイルに対し、1発が数千万円から数億円の迎撃ミサイルで対処していては経済的負担が大きすぎることから、湾岸諸国は1照射数ドルとも言われるレーザー兵器に強い関心を寄せていると紹介しつつ、

金満湾岸諸国の特徴として、共通の脅威と防御システムへのニーズが存在しても、例えば地域の2国間や湾岸協力会議(GCC)単位で、防御兵器を開発や導入しようとの動きは皆無で、サウジがドローン対処用の中国製小型レーザー兵器を購入したとの報道や、UAEが独自開発を検討しているとの噂があるのみだとの湾岸諸国の現状を、IISS研究者Sasha Bruchmann氏のコメントで紹介しています

一方で同記事は、政治的リスクがある中でも2023年アブダビ開催の軍事見本市IDEXに「Iron Beam」の「モックアップ」が展示され、2025年2月17-21日のIDEX2025にはその後開発された「Iron Beam」新機能を含む展示が行われると取り上げており、開発が順調とは言えない本分野だが、イスラエルと米国が先頭を行くレーザー兵器開発に湾岸諸国は強い関心を持っていると指摘しています

ただ「Iron Beam」の現状での実力に関しBruchmann氏は、射程距離は現時点では数キロ程度のため、防空網を形成するには大量配備が必要で、雨や雲の影響下では能力が低下する特性もあることから、イスラエルも防御ミサイル使用の迎撃システム「Iron Dorm」を補完する程度の役割しか期待しておらず、イスラエル政府が自国民に努力をアピールしたい気持ちは分かるが、実際に配備されてからその効果を見極める必要があると、きわめて慎重なコメントをしています
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「Iron Beam」開発の現状がよくわかりませんが、2022年4月に100kw級の出力でドローン等の迎撃試験に成功した際には、「as soon as possible」で前線配備すると当時の国防相がぶち上げ、その後2024年11月に「1年以内での配備を見込んでいる」とイスラエルのミサイル防衛長官が発言し、開発企業と約800億円の追加投資契約を締結したと発表されていたところです

西側諸国だけでなくアラブ諸国も、世界中に拡散するドローンやミサイル兵器対処に苦悩している現実と、なかなかブレイクスルーが起こらず「いつまで経っても完成まであと5年」と揶揄されているレーザー兵器(エネルギー兵器)の様子をイスラエルの様子からご紹介しました。10年以上同じ状況ですが、引き続き見守っていきたいと思います

2022年4月にイスラエル国防相は「早急な配備目指す」と
しかし現在は「2025年配備を見込んでいる」とか
多数の映像資料でご紹介
「100kw級でIron Beam試験成功」→https://holylandtokyo.com/2022/04/21/3143/

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