航空交通大混乱:米南部国境で無人機防御のレーザー兵器使用で

未だ細部は調査中も、議会や政府や専門家から疑問噴出
米軍が国境警備局職員にレーザー兵器使用を許可
これを受け連邦航空局FAAが周辺航空交通10日間閉鎖指示で混乱
数時間の空域閉鎖で解消も、軍と国境警備局とFAAの連携が課題に

細部が不明で調査中の事案ながら、2月11日に米メキシコ国境付近で、メキシコ麻薬密売組織によるドローン対処を担っていた米国国境警備局職員に、米軍がレーザー兵器の使用を許可したことで、米連邦航空局が周辺を飛行する航空機の安全確保のため周辺空域を10日間閉鎖する指示を出したことを受け、関係各所にパニックを引き起こす事案が発生しました。

結果的に数時間で空域閉鎖は解除されたものの、ドローン防御用レーザー兵器使用による過去に例のない規模の空域閉鎖指示は、航空交通関係機関や航空会社を大混乱を引き起こし、更に関係機関から一貫した説明がない対応も混乱に拍車をかけ、米議員や政府関係機関から様々な疑問が投げかけられ、専門家から「関係機関の連携における反面教師事案」と位置付けられる事態となっている模様ですので、2月14日付米空軍協会web記事から概要をご紹介しておきます

各種報道をまとめた2月14日付米空軍協会web記事によれば
●2月11日、米メキシコ国境で活動する米軍が、米国税関・国境警備局職員(Customs and Border Protection agents)にドローン防御用の軍用レーザー兵器使用許可を出したことで、連邦航空局FAAがテキサス州エルパソ上空での全航空交通を10日間停止する指示を発出
●FAAの当該空域閉鎖指示は数時間で解除されるも、突然の空域閉鎖は航空交通管制や管理にパニックを引き起こし、幅広い関係者や議会から説明を求める声が相次いでいる

●上院軍事委員会の重鎮Jack Reed民主党議員は、「発生事象に関する国民への説明不足」、「小さなミスとして看過することはできない」、「連邦政府の各部署からの説明が相反しており、疑念が深まっている」等と批判
●一方で米国関係当局は、「メキシコの麻薬カルテルが国境付近で飛ばしていたドローン対処のため迅速に行動した」以外は、事案の詳細をほとんど説明していない

●米軍は、2023年12月にLangley空軍基地上空を数日間連続で正体不明のドローン群が出現した事件以降、同様の事象がオハイオ・ユタ州等々の空軍基地でも連続発生したことを受け、人口密集地域近傍で安全使用可能な、低コスト対ドローン技術導入に奔走し始め、数百億円を投資
●一方、政府外部の専門家は、こうした兵器の米本土での使用には、軍とFAAと米国税関・国境警備局職員等々の緊密な連携が不可欠だと指摘していたが、同専門家は改めてその重要性を指摘している

●国防省はドローン対策の特別チーム「Task Force 401」を設置し、適切なハード迅速導入の他、基地司令官や現場責任者に必要な権限付与するため、特定の資産や施設防御のための関連国内法既定の権限に基づき、対処活動範囲を「基地外」に広げることを許可するなどソフト面での体系整理にも取り組んでおり、最新のガイドラインを公開したりしている

●しかし専門家であるCNASのStacie Pettyjohn担当部長は、国防省の努力を認めつつも、小型ドローン対処で米政府機関の連携や備えが不十分であることを暴露した事例だと指摘し、「煩雑な手続き簡素化を急いだが、兵器毎に必要な深さの調整は完了していない」と、航空交通の多い地域で税関国境警備局職員にレーザー兵器使用を許可した事や、職員の訓練不足への懸念等を指摘している
●またPettyjohn部長は、国防省がドローン対処兵器の使用制限や権限の緩和を検討するのは理解可能な動きだが、税関国境警備局への権限委譲には慎重であるべきで、大きく見れば、国土安全保障省と国防省の適切な役割分担を整理する必要性を感じるとも指摘。また、航空機機体への損傷だけでなく、操縦者の視力への影響が懸念されるレーザー兵器の使用場所についても、有効性と安全性の両面から再検討が必要かもしれない、とコメントしている
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2月11日にエルパソ近傍の米メキシコ国境で発生した事象の細部が不明な段階ですが、「(確認されているだけでも)毎日約1,000件の麻薬組織ドローンによる米メキシコ国境侵入が発生している」深刻な状況の中で、西側先進国の先陣を切って対応に苦しむ米国の状況をお伝えしました。

民間地域の近くで、「日進月歩の対ドローン兵器を使用許可するために必要な、複雑怪奇なお役所や民間事業者間の権限関係」を交通整理することなど、今の日本でどれだけ大変なことだろうか・・・と思いますが、敵側から見ればそこが日本の弱点であり、「つけ入る隙」であることも確かです

小型ドローンから基地を守る
「11名の対処派遣チーム」→https://holylandtokyo.com/2025/11/18/13189/
「分散基地対処チーム」→https://holylandtokyo.com/2025/10/22/12984/
「航空管制と無人機センサー融合」→https://holylandtokyo.com/2025/10/10/12168/
「国内基地防御机上演習」→https://holylandtokyo.com/2025/09/10/12313/
「中国は3000社で」→https://holylandtokyo.com/2025/05/28/11509/

ウクライナとイスラエルの革新的兄弟作戦
「防研のクモの巣作戦解説」→https://holylandtokyo.com/2025/07/14/12101/
「イ工作員の防空網破壊が口火」→https://holylandtokyo.com/2025/06/23/11962/

ウクライナで試験していないなら、その装備は不十分!
「米空軍高官:ウクライナで試験せよ」→https://holylandtokyo.com/2025/09/09/12705/
「米がドローン支配狙うも」→https://holylandtokyo.com/2025/07/28/12266/

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