コスト増&遅延で20隻予定を2隻で断念
当初6隻8200億円で契約を、2隻を補償金含め4500億円で
発注伊企業は既に米造船所へ1兆円以上投資済で穴埋め必至
沿岸戦闘艦LCSを中断し Constellation 級に変更も再び
Constellation級フリゲート艦は、2017年11月から艦首選定に入り、2020年5月に5社の提案から、フランス海軍やイタリア海軍への納入実績のあるイタリア Fincantier社製 FREMMフリーゲート艦をベースに改修を施すことで導入が決定されました。
運用実績のある現存完成艦艇を基礎にすることもあり、導入決定後の早い段階で当時の米海軍は、Constellation級の「基本設計および機能設計は88%完了している」、「米海軍用に新たに搭載する装備は、艦艇への適合等を地上試験で動作確認の後に搭載する計画で、改修部分のトラブル発生を局限する」等々と、沿岸戦闘艦 LCSの開発失敗を繰り返さないよう万全の準備をアピールしていました。
しかし、実際作業が始まると、「米海軍基準での艦艇強靭性や耐久性要求への改修」が容易でないことが判明し、加えて「コロナによる作業やサプライチェーン混乱」もあり計画が大きく遅延しました。更に本格紛争重視に米国防戦略が舵を切ったことを受け、2023年に「長射程ミサイル搭載要求が追加」されたことも加わり、
当初の要求仕様から 7割が変更され、原型 FREMMフリーゲート艦との共通部分は15%程度しか残らない大幅改修案件となり、会計検査院による 2025年3月の報告書に、「米海軍が何度も設計変更を行ったため、5年経過して3年遅れの現在でも、計画は7割しか完成していない」、「再設計で艦艇の重量増加は許容範囲を超え、米海軍は同艦の速度要求引き下げまで検討している状態」と酷評される事態となっていました
11月25日付Defense-Newsによれば、今回の「2隻で建造中止決定」を受け海軍長官は、「米海軍には艦艇が必要で、対応可能な全造船所で建造する。今次決定の背景要因は、将来脅威対処のための艦隊迅速増強に対応するためで、この変更により、海軍はより迅速に新型艦艇建造に向かい、必要能力確保へ緊急スケジュールの道筋を歩むことになる」と、気持ちだけ前のめりで具体策がない声明を出していますが、当初6隻8200億円での契約を、補償金含めて2隻で4500億円も支出する情けない結果となっています。
一方、Constellation 20隻建造を見据え、既に1兆円以上を米国内4か所の造船所に投資済みで、3700名以上を雇用しているFincantier社は、「米国内造船所への投資は、米海洋産業基盤として、米造船業復興の原動力にするとの我が社長期ビジョンの証」と前向きな社交辞合コメントを出しつつも、「失われた事業を補うため、水陸両用船、砕氷船、その他の特殊務船の新規受注を期待している」と太い釘を米側に突き刺しているところです。
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Constellation級フリーゲート艦 20隻建造決定の前に取り組んでいた沿岸戦闘艦 LCSも、2008年の艦首選定の際、専門家や米議会の大反対の中、最終候補 2艦首を両方採用する玉虫色決定に始まり、推進装置の欠陥や船体亀裂など艦艇としての問題に加え、売り物だった多様な任務に対応可能なモジュールパッケージ開発が難航して当初から価格が2倍になるなど、数々のトラブルとコスト高騰に見舞われました。
そして対テロやグレーゾーン事態対処等を念頭にした沿岸戦闘艦LCS が、本格紛争対処へのシフトで「使いどころがない」艦艇と判断されるに至り、2016年 12月に52隻調達予定が32隻で中断された悲しい運命をたどりました。
数代前の海軍長官が、装備品開発のトラブル続発と価格高騰と遅延、多発する艦艇事故や艦艇火災、加えて海軍幹部の港湾業者との汚職問題や指揮官不適格行為の連続発生などを捉え、自虐的に「何をやってもダメな米海軍」と口にしていましたが、またしても主力
装備品開発に「汚点」を残す結果となりました。
ちなみに、Zumwalt級駆逐艦も2隻で打ち止めだったような・・・
沿岸戦闘艦 LCS の黒歴史
「就航 10年のLCS を格納保管へ」→https://holylandtokyo.com/2020/07/07/566/
「国防長官が LCS 削減指示」→https://holylandtokyo.com/2015/12/22/7818/
「LCS の調達数を巡る激論」→https://holylandtokyo.com/2014/01/22/8566/


11月25日 Phelan 米海軍長官は、数々のトラブルによる開発遅延とコスト高騰と脅威の変化を理由に、2008年から導入開始の 2700トン級沿岸戦闘艦 LCS調達を計画半ばで変更し、脅威対応でより大型の本格紛争にも対応可能な7000トン級(イージス艦は9500トン級)の Constellation級フリゲート艦20隻の導入を2016年に決定した件に関し、更なる脅威の変化と開発遅延&コスト超過を受け、Constellation 級も現在建造中の2隻のみで調達を中止すると発表しました