11月18日のサウジ皇太子米国訪問を前に衝撃発言
地域におけるイスラエル軍事力の「質的優位」原則は?
中国とも緊密なサウジへの売却で技術漏洩の懸念も
11月17日、トランプ大統領が18日からのサウジ皇太子訪米を前に、サウジと米国との長年にわたる協力友好関係を称賛しつつ、サウジに最新鋭戦闘機F-35を売却すると表明しました。
具体的には、記者団から「サウジに戦闘機を売却するのか?」と問われたトランプ大統領が、「我々はそうするつもりだ。F-35を売却するつもりだ:We’ll be selling F-35s」と答えたとのことです。
各種メディアや専門家は、18日に大統領府を訪問予定のサウジ皇太子が、米国軍事力によるサウジ防衛範囲の米大統領による公式確認や、F-35 戦闘機売却に関する合意などを含む要望リストを携えて来訪すると予期しており、これらメディアの関心事項にトランプ大統領が先行して言及した模様です。
ただし、本件を報じる同日付Defense-Newsは、「ガザ地区和平計画」をイスラエルの協力を前提にトランプ政権が進めている現状で、これまで歴代米政権が基本方針としてきた「イスラエルの
地域における軍事力の質的優位(qualitative military edge)確保」を危うくする決定を下すことに、トランプ政権内でも不安視する声があると報じ、
更にもう一つのリスクとして、UAEの中露との緊密な関係(アブダビ港への中国施設受け入れ疑惑や軍需企業強力など)や、米国によるF-35 使用制限要求を拒んだことで、2022年にUAE への 50機のF-35売却協議がとん挫した経緯も踏まえ、中国と緊密な関係を持つサウジにも、F-35技術漏洩等の懸念が噴出して売却交渉や手続きが難航する恐れを指摘しています。
////////////////////////////////////////////////
大きな視点で見れば米国は、ウクライナに関しては欧州 NATO諸国に任せ、中東では、イスラエルとアラブ諸国の協力枠組み「アブラハム合意(2020年秋:イスラエルと UAE&バーレーンの国交樹立文書)とその範囲拡大(エジプト、ヨルダン、モロッコやスーダン等)で、イランやその代理勢力の脅威を抑えることを期待していると思われます。
中東に関して言えば、過去記事で「アブラハム合意」後の雰囲気(ハマスVS イスラエル紛争前)を思い出し、「ガザ停戦」が当時の雰囲気を復活させたと理解いただくと、対イスラム過激派で生まれた「アブラハム合意」のダイナミズム再びで、サウジへのF-35 売却交渉が進展する環境が生まれていると考えます
2022年に「イスラエルもが事実上合意」していたUAE へのF-35売却がとん挫した際は、UAE 政府関係者が「米国はF-35 作戦運用に関し、how and where まで制限を要求している」と不満をメディアにぶちまけた様に、「米国による F-35 使用制限要求」が最大のネックとされましたが、その後の様々な戦略&戦術環境の変化もあり、中露との関係への視線も変化し、サウジへのF-35 売却が進展したのかもしれません
ちなみに米報道によれば、サウジは F-35を48機購入希望とのことです
UAE とのF-35 等売却交渉
「UAE への F-35売却交渉とん挫」→https://holylandtokyo.com/2022/01/04/2533/
「国務省次官補が語る」→https://holylandtokyo.com/2021/11/24/2443/
「UAE 空軍司令官イスラエルで演習視察」→https://holylandtokyo.com/2021/11/12/2408/
「イスラエルが事実上合意」→https://holylandtokyo.com/2020/10/27/442/


