米国防省のAI兵器倫理規定の変化を想定し
米軍ニーズの変化を予期し
操作員の負担軽減や妨害電波下での自律性どこまで
10月10日付DefenseOneが、同日Anduril社が発表した高い自律性を追求した人工知能AI搭載クワッドドローン「Bolt-M」と、これまた同社が開発している「Lattice」との多様なセンサーやソースの目標情報等データを統合できるプラットフォーム(他社製ドローンも活用可能な方向を追求中)と組み合わせ、ドローン操作員の負担や事前訓練負担を軽減しつつ、更に敵の誘導電波妨害時にも自律的に目標攻撃が可能なシステム開発を取り上げ、
ウクライナ戦などで日進月歩のドローン技術とドローン対処技術の進歩の中で、また戦場状況が急速な変化や、国ごとに異なる自律性AI殺傷兵器使用指針の世界的変化に伴い、AIの兵器活用を制限している米国防省の倫理規定「AI ethical principles」(人間は適切なレベルの判断を下し、AI搭載兵器の開発、配備、使用に責任を持ち続けなければならないと規定)も、変化せざるを得ない可能性が高いとの前提のもと、ユーザーニーズの変化に備えた同社の取り組みとして紹介しています。
なお「Bolt-M」開発を、OPF-L計画(Organic Precision Fires – Light)の一環として進めている米海兵隊は、今後約6か月間、「Bolt-M」の派生型を厳しい環境下で試験して評価する予定だということです。ちなみに「Bolt-M」は、重量2.4kgでバックパックに収まるサイズで、5分以内で展開可能ながら、飛行時間は45分もあり約20km飛行可能とのことです
ドローン「Bolt-M」を「Lattice」使用の作戦イメージ
●ドローン「Bolt-M」はカメラを搭載した「first-person-view strike drones」で、専門の操縦者を必要とせず操縦者の負担が少なく機能する。「Bolt-M」操作員は、表示ディスプレイ上で飛行可能領域やいくつかの飛行諸元を指定するだけで同ドローンを使用可能で、かつより多くの情報を提供できる
●目標情報等融合プラットフォーム「Lattice」で攻撃目標を特定すると、操作員は敵攻撃から視覚や音響探知範囲外のスタンドオフ待機位置を「Bolt-M」に指定し、攻撃のタイミングを待つ。
●目標が移動したり隠されたりしても、「Lattice」により目標追尾は継続されており、総合的見地から判断された攻撃実施命令を受けたのち、操作員は「Bolt-M」の目標への最終突入ルートや角度等を指示し、攻撃に移る
●敵からの誘導電波やリンク妨害により操作員との接続が失われても、またGPS妨害を受けても、「Bolt-M」はアルゴリズムに従い自律的に目標への最終突入を継続する
同社開発責任者の説明
●「Bolt-M」は「Lattice」との自律的なやり取りを通じ、戦場の状況、「Lattice」把握目標、自身の搭載センサー捕捉の目標を把握し、操作員が「Lattice」融合情報を基礎に判断した目標に向かい、実際に自信が捕捉した目標と照合しつつ交戦する
●我々が「Lattice」をベースに行っているのは、人間をオンザループに置きつつ、キルチェーン全体に最大の自律性を提供し、より迅速により適切な決定を下せるようにすること
●我社は米国AI兵器倫理規定の変化を予期しており、その場合に備えニーズに対応可能な準備を整えておきたい。システムを可能な限り高性能にすることを重点に置き、政策や規定の変化があった場合に、ユーザーニーズにこたえられるオプションを準備し、選択権をユーザーに提供したい
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Anduril作成のBolt-M紹介映像(2分13秒)
米国が致死的兵器へのAI使用に厳格な規定を設定して順守していても、そんな倫理など「くそくらえ」と考えそうな国が世界にはごろごろ転がっています。
われわれ日本人は、ドローン攻撃の恐ろしさや、AI搭載自律型兵器の脅威を体感していませんが、既にウクライナやイスラエルはその脅威下で日常を過ごす状態となっています。頭が追いつきませんが、これが現実です
ドローン関連の記事あれこれ
「ドローンで攻撃へリ撃墜の衝撃」→https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
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