第16空軍のコマンドへの格上げの現在位置

CyberとEWとISRを担う16空軍格上げ発表から半年
空軍長官と参謀総長直属「Air Forces Cyber」の姿は?
新任の第16空軍司令官 Hensley 中将が語るも・・・

16th Air Force5.jpg8月30日、今夏第 16空軍司令官に同副司令官から昇任&就任したThomas K Hensley 中将が、2月に米空軍が打ち出した空軍大改革メニューの一つ「第 16空軍のコマンド『Air Forces Cyber』」への格上げ(司令官は中将を維持)」に関し、未だ骨格部分は米空軍首脳部により検討中だとしながらも、「格上げ事業」を担う新司令官としての所を記者団に語りました

本日取り上げる第16空軍は、2019年10月に第24空軍(サイバー担当部隊)と第25空軍(ISR+一部のEW 電子戦担当部隊)を合併して編成した後、更に2021年7月に米空軍各所から電子戦部隊を集めて第 350航空団として新編し、16空軍に追加編入して今に至っている部隊です。

16th Air Force4.jpg第16空軍編成の狙いは「情報制圧組織:information dominance organization」の創設で、つまり、サイバー空間での情報と、画像・映像・電磁スペクトラムからの情報を総合的に組み合わせて新たなインテリジェンスを生み出し、敵情を迅速に把握して地域コマンドや機能コマンドに提供し、併せてサイバー空間や電磁スペクトラム領域で攻撃的作戦を遂行することが期待されています。

2019年10月新編の直前に、世界的なセンサー網を誇る気象部隊も配下に入れる決断があり、他軍種からも注目を集め、米海兵隊は第 16空軍をまねた「Marine Corps Information Command」を後に創設したほど、米空軍内外から注目を集めている部隊です

16th Air Force2.JPG2月に米空軍が打ち出した大改革は、新装備の構想や開発を一手に担う「ICC: Integrated Capabilties Command 創設」、「戦闘・輸送・GS コマンドの即応態勢強化」、「ACE 構想に対応可能な人材養成」の3つを柱とするもので、これまでも2025年の「Talisman Sabre 演習」大規模化計画や「ICCの難産」状況等についとご紹介してきたところですが、「16空軍」の活動自体やその「格上げ」については放置状態でしたので、正直中身は薄いですが司令官発言をご紹介しておきます

第16空軍司令官 Hensley 中将は記者団に対し
16th Air Force6.jpg●サイバー、電子戦、ISR、広報、天気予報等を広範にカバーする第16空軍に、大規模再編が予定されている。第16空軍は、太平洋空軍や中央空軍と同等の service component command に『Air Forces Cyber』として格上げ昇格する方向だ
●ただし、現時点で第16空軍の将来に関し私が言えるのは、米空軍上級リーダーたちが、非常に慎重なプロセスで進めているが、決定にかなり近づいているのだろうと感じていることだけである

16th Air Force3.JPG●一部世論の中には、16空軍の役割が十分明確に定義されていないとの批判があるが、我々は自身の権限を理解しており、例えばよく議論される戦略的メッセージングや、それら(軍事欺瞞)作戦について(広報部と)協力する権限についても把握している
●また、「異質な部隊の寄せ集め」との見方もあるが、異なる性格の部署を束ねることには多くの利点がある。一人の指揮下にあることで、指揮や努力を統一し、迅速機敏に結果を生み出す力を得ることは大きい。異なる要素が別々の組織に属していては「必要なスピードと機敏性」は得られない

16th Air Force.JPG●第16空軍の多様性多面性は欠陥ではなく特徴であり、従来のターゲティング情報処理分析と21世紀の戦争概念を統合(allowing the integration of traditional targeting intelligence with 21st century warffare concepts)可能な形態だと考えている。我々はサイバー。電磁スペクトル、non-kinetic 効果、また触媒としてのISRと気象をサイバー等と融合可能でもあり、様々な可能性を秘めている

●今は 16空軍の将来に関する最終決定を待つ立場だが、部隊支援任務を複雑にしている可能性がある 16空軍内部の課題への対処、つまり部隊内で実施すべき多様で多面的な機能間の連携を微調整するため懸命に取り組んでいる。

●新しく設置された「information warfare operations center」は、16空軍が持つすべてを融合し、全ての空軍部隊の任務遂行を支援できるよう設計されており、大きな力になる
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16th Air Force7.jpgHensley司令官は大変だと思います。最近突然注目を集めるようになったとは言え、米空軍の本流でない「日陰者」や「オタク」扱いされてきた「サイバー」や「電子戦」や「ISR」人材をかき集め、一つに束ねてやるから「シナジー効果を生み出せ」と命ぜられているのですから。

更にこれを、太平洋空軍や中央空軍と同等の Service Component Command に『Air Forces Cyber』として格上げ昇格させる・・・というのですから・・・

第16空軍関連の記事
「中露対処の情報戦語る」→https://holylandtokyo.com/2023/11/27/5247/
「サイバーと ISRに加え電子戦も」→https://holylandtokyo.com/2021/07/09/1967/
「第16空軍創設:大統領選が初任務」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19

米空軍が大改革アクションを発表
「飛行軍司令は不要」→https://holylandtokyo.com/2024/07/08/6049/
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICC コマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/
「前段階:米空軍総レビュー実施」→https://holylandtokyo.com/2023/09/07/5012/

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