将来米空軍に大佐職飛行群司令の居場所はない
群司令は航空団幕僚として統合作戦推進を担い将来に備え
派遣用航空団は2025年から海外でACE構想の分散運用を
6月14日Allvin空軍参謀総長は、2月にKendall空軍長官が発表した米空軍大改革の柱の一つである「戦闘・輸送・CSコマンドの戦闘能力強化」に関連し、戦闘機航空団の編成を意識して言及し、特に海外派遣を前提とした主力「Deployable Combat Wing」について、現在の「航空団Wing→飛行群Group→飛行隊Squadron」編成から、飛行群を無くす編成にすると語り、2025年後半から2026年前半に新編成航空団が海外展開(中東)を開始する予定だと語りました。
もちろん米空軍海外派遣部隊の中核たる「Deployable Combat Wing」は、本格紛争を念頭に置いたACE構想(Agile Combat Development)を基に海外展開先で運用する方針で、従来の様に設備の整った地域の中核基地に大規模戦力を置くのではなく、戦力を小規模に分割配置して「hub-and-spoke」方式で活動させると言い切っています。
14日のAllvin大将発言概要をご紹介する前に、航空団(Wing)の改革方向をおさらいしておくと・・・
●作戦運用を担う航空団「Wing」は、その役割に応じて3つに区分する
・そのままの編成で戦力投射のために海外派遣可能な「Deployable Combat Wing」
・米本土等の母基地で完結した戦力運用が可能な「In-Place Combat Wing」
・必要時「Deployable Combat Wing」へ戦力提供する「Combat Generation Wing」
14日付米空軍協会web記事によれば同大将発言概要は
●航空団を構成する飛行群や整備群を廃止し、航空団司令官のもとに飛行隊を置く編成に合理化する。戦闘力をより効果的に投射するための取り組みである
●現在飛行群や整備群のトップを務めている大佐クラスは、航空団司令部レベルの幕僚に異動し、「戦闘作戦運用と統合作戦:operational warfighting and joint warfighting functions」を担ってもらい、将来より優れた統合指揮官になるための研鑽を積んでもらう。これは米空軍が将来戦で主導的な役割を果たし担うためにも必要だ
●飛行隊など各Squadronレベルの指揮官に、範囲を明確にした権限を与えて主導権を握らせたい。この際、航空団指揮官と各Squadronレベル指揮官の間に中間レベルの指揮官が存在すると、各Squadronレベルが守られ過ぎる可能性がある
●無論、この変革は小さなものではない。空軍士官のキャリアパスの変更や、教育訓練面でも航空団やそのスタッフ任務に重点を置くよう見直しが少なくとも必要だろう
●最初の6個の新航空団は5月に発表され、2025年後半から2026年初めに展開開始予定だ。スケジュールは「現時点ではかなり流動的」だが、目標は新航空団の活動終了が始まる2026年秋頃ごろまでに十分人員を充足しておくことだ。
●新航空団の運用は当然ACE構想に基づいて行われ、小規模部隊が分散して遠隔地や厳しい環境の飛行場から作戦する前提で、戦闘航空団スタッフがハブとして機能し、飛行隊がスポークになる考え方だ。またこの編制にサイバー部隊や爆撃機部隊を含む編制も検討している
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5月に発表された6つの航空団は以下の6つです。全くフォローできていませんが、ご注目ください!
(現在の各基地配属機種で考えてはいけないような・・・)
Davis-Monthan Air Force Base, Ariz.
Scott Air Force Base, Ill.
Joint Base San Antonio, Texas
Dyess Air Force Base, Texas
Fairchild Air Force Base, Wash.
Seymour-Johnson Air Force Base, N.C.
米空軍が大改革アクションを発表
「大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/
「改革の目玉ICCコマンド」→https://holylandtokyo.com/2024/05/23/5873/
「前段階:米空軍総レビュー実施」→https://holylandtokyo.com/2023/09/07/5012/