Kendall 空軍長官が議会証言で
2023年代後半までに 1000-2000 機導入の構想も
100機後は2年単位で契約更新し順次改良を
4月30日 Kendall 空軍長官が米下院の予算関連小委員会で、24日に第一弾企業選定「increment 1」で Anduril 社と General Atomics 社を選び、ロッキードやボーイングを敗者とする発表をしたばかりの無人ウイングマン機CCA(Collaborative Combat Aircraft)に関し、2030年代後半までに 1000-2000機導入の構想を持ってはいるが、当面5か年計画最終年の2029年までに約 100機を導入する計画だと説明しました
また、同長官は「CCAの最終的な調達機数は、1機のコストやCCAの能力達成度や他の装備品の成熟度などの要因により影響を受ける」と述べ、「F-35戦闘機の1/3程度の1機35-45 億円程度で、繰り返しの使用を前提とするが、ある程度のリスクを甘受し損耗は想定した上で、現有戦力では実現できない多様な戦術や戦法を使用可能にするアセットとなる」との表現で証言しています
更にKendall氏は、「有人戦闘機1機が行動を共にするCCAは、2-5機の範囲と現時点では想定しているが、全ての有人機がCCAと行動を共にすることを前提とはしていない。少なくともCCA 導入当初は」とも語り、今後 CCA 開発と並行して作戦運用法も検討を深化させる必要があることを示唆しています
24日の第一弾企業選定「increment 1」の後に予定される、第2弾企業選定「increment 2」の決定時期は 2025年から 26 年が予定されていますが、最近のウォーゲームでは「アジア太平洋戦域では、それほど高性能のCCAは必要とされておらず、low-end CCAを多数準備したほうが良い」との教訓が得られているとの報道や空軍高官発言もあり、
Kendall 長官も議会では、「本プロジェクトは、約2年毎の複数の段階(multiple increments)を経て進化していく手法を考えており、increment 1では迅速な生産を目指すが、これら初期のCCA運用を通じて空軍が多くを学んで、2-3年後の次の increment に生かしていく」と語り、「走りながら考える」風の成長過程をCCAで設定しているようです
また米空軍はCCA開発において同盟国との開発協力を重視しており、豪州がボーイングと取り組むモジュラー性を重視した無人機「MQ-28 Ghost Bat」や、英国軍や他同盟国のプロジェクトとの協力 追求姿勢を強く打ち出しています
Kendall 長官と共に議会証言した AIlvin 空軍参謀総長は、数か国の同盟国と関連議論を行っており、「公言できない秘密の他国の開発案件や技術と、我々のCCA プロジェクトを組み合わせることで期待されるシナジー効果や、(機体や搭載装備&兵器の)相互運用性確保によって生じる効率性により、大きな飛躍が得られると期待している」と語っています
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4日に Anduril 社とGeneralAtomics 社が選ばれた第一弾企業選定「increment 1」で、何が要求されているのかも全く「非公開」状態で、CCA に求めるレベルが揺れている様子が感じられる記事であり、 2029年までに約 100機との具体的数字が出る議会証言とのギャップを感じます
少なくとも 1000機との大風呂敷ですが、「どこに展開し、だれが維持整備し、どのように兵站を確保して運用するのか」がさっぱり見えないCCAであり、今後も引き続き「生暖かく」見ていきたいと思います
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