次世代戦闘機やCCAと共に将来CやKCも検討すべき
将来給油機はFやBレベルではないがステルス性が必要
2025年までに25%のCやKCに通信やネット中継機能を
3月28日、米空軍輸送コマンド司令官で「熱血漢」「改革派」とご紹介してきたMichael Minihan大将が講演で、次世代輸送機や空中給油機NGASの開発が戦闘機や爆撃機の「後追い」となる傾向に警鐘を鳴らし、対中国を意識すれば、戦闘機や爆撃機の活動に不可欠な次世代輸送機や給油機開発は、広い視野から新設される米空軍「Integrated Capabilities Command」で戦闘機や爆撃機開発構想と並行して進めるべきだと訴えました
また将来輸送機や給油機構成について、全てがそうである必要はなく、配合比率は現時点で固まっていないが、、一部はある程度のステルス性を有して高い脅威下で活動可能である必要があり、輸送や給油任務以外に、兵器や救命装備投射プラットフォームとして、また前線地上部隊への燃料弾薬やバッテリー輸送アセットとしてのニーズに対応する必要があるとの考えを示し、「垂直離着陸能力」の必要性にも言及したようです
更に同司令官は「2025年までに25%のアセットに必要」「約250機を想定」との具体的目標付きで、輸送機や給油機に「connectivity upgrades」、つまり小額投資で実現可能な通信中継やネットプロバイダー機能を持たせ、統合戦力や同盟国等の戦力増強に貢献すべきだとの持論を展開しており、まんぐーすは「なるほどそうだな」と思いましたので、以下で具体的な表現等をご紹介します
Defense OneのウェビナーでMinihan大将は
●例えば1950年代のB-52爆撃機開発が、B-52の戦略的運用に欠かせないKC-135空中給油機開発と並行して実施されたように、米空軍は輸送機や給油機開発を、戦闘機や爆撃機開発の後回しにしてはならず、この点で2月に発表された(米空軍全体の新規開発事業を一元統制管理する)「Integrated Capabilities Command」創設計画は極めて重要で、FとBとCとKCを一体的に検討する役割を担う同新コマンドに輸送コマンドも必要な人員を送り込むことになる
●輸送コマンド保有戦力の多くが老朽化しており、我々へのニーズが拡大し続ける中で新たなプラットフォームへの投資が必要となっている。現状では将来の輸送や給油機の将来の能力別構成比率について語れる段階にはなく、同時に一つの機種で全てに対応できないのは自明で、現有アセットと同程度の能力のアセットで十分な任務も多くの残るだろうが、高い脅威下で活動可能なアセットを一定程度確保する必要が生じている
●そこでは、ステルス性を持つ戦闘機や爆撃機の支援だけでなく、FやBによる兵器投射を支援するパレタイズ兵器や撃墜された搭乗員への救命装備の投下、最前線地上部隊への通信機器用バッテリーの投下などのニーズにもこたえる必要がある
●ハイエンドニーズに対応する輸送や給油アセットは「小規模smaller fleets」で、戦闘機や爆撃機レベルのステルス性は必要ないと思うが、低視認性は欲しいし「垂直離着陸能力」も追求したい
●また、2025年までに25%のアセット、つまり空軍輸送コマンド保有の輸送機や給油機約250機に、小規模な投資や改修工数で実現可能な「connectivity upgrades」で通信中継やネットプロバイダー機能を持たせ、空輸コマンドの為だけでなく、広く統合戦力や同盟国等の戦力増強に貢献したい
●以上述べたような将来への変革はリスクも伴うが、現状に留まるリスクは受け入れ難いし、過去2年半の作戦運用や各種演習を通じ、述べてきた改革方向が間違っていないことは証明済だと認識している
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特に米本土から離れ、使用できる作戦拠点が限定的な西太平洋での対中国作戦運用ニーズを各種演習やウォーゲームで検討すれば、新しいアジア太平洋軍司令官が議会証言したように「給油や兵站が極めて重要」であることは明白で、同時に一朝一夕には解決できそうもない重い課題です
もはやウォーゲームの世界では、F-35など足の短い戦闘機タイプや脆弱な空母に搭載した艦載機が活躍できそうな場面が「皆無」に近いのでは・・・とも邪推していますが、何をするにしても輸送機や給油機の任務が減るとは考えにくく、CやKC開発は、FやBの後追いではだめだとのMinihan大将講演は、現役将軍としては精いっぱいの発言でしょう
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