新兵教育10週間での脱落率を抑える狙い
従来は8-10週間内に公衆電話で5回の通話機会に限定
先に許可した陸軍と空軍に追随する形で
携帯使用は2週間に一回程度で音声通話以外のアプリ使用禁止
3月29日米海軍が、約10週間の新兵基礎教育期間におけるスマホ使用やスマホでの家族との電話を禁止してきた従来に方針を転換し、アプリ使用やビデオ通話は引き続き禁止されるものの、2-3週間に1回程度のスマホ電話使用を許可することに方針変更した明らかにしました
スマホ許可について米海軍関係者は、「基礎教育期間10週間の最初の2-3週間で脱落除隊する者が多い事から、その防止につながることを期待している」、「海軍人としての基礎固めに集中すべき重要な基礎教育期間だが、スマホが銀行使用や財務処理における認証機能の役割を果たすなど、約10週間スマホ使用を禁じることが現代社会では現実的ではないと判断した」等と変更理由を説明しています
これまで米海軍の基礎教育課程では、期間中に5回、新兵をまとめて公衆電話に連れて行き、順番に電話を掛けさせる手法を取ってきましたが、本件を紹介する同日付Military.com記事や掲載写真によると、普段はカギのかかるロッカー内で保管されている各自のスマホを、許可された一定時間だけ使用可とされ、申し訳程度の仕切りがある大部屋の中でスマホ通話が許されるようです
既に米陸軍と米海軍は一足先にスマホ使用を許可しており、米海軍もこれに追随した形となりますが、募集難に苦しむ米海軍は1月末に、「採用時の素養試験で一定の成績を取れば、高校卒業資格がなくても入隊を許可する」と発表し、「コックや甲板長等であれば高い学力は不要だ」、「様々な人材確保策を検討しているが、学力レベルを下げて採用するリスクを試してみたい。我々は決断した」と説明し、他軍種が死守している「一線」を既に超えた対応をしています。
同時に米海軍は、新兵の基礎能力底上げのため、2022年から入隊時の基礎教育期間を8週間から10週間に延長し、加えて2023年3月からは、陸軍が既に行っていた入隊前に準備教育を行うことも開始したところでした。
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米軍の新兵募集難への対応や退職防止のための取り組みを折に触れご紹介していますが、決して米軍だけの問題ではないことを肝に銘じて頂きたいと思います。米国や他の西側諸国と比較し、少子高齢化の進捗が速い日本では、より大きな問題であることをご認識いただければと思います。
それと、新兵のスマホ使用に関して、恐らく自衛隊は米軍ほど厳しくはないと思います。訓練時間中の使用や持ち歩き制限されると思いますが、勤務時間が終了した夜の自由時間等であれば、上記でご紹介した米海軍ほど厳しくないと思います。(10週間で公衆電話使用が5回に制限とか、ちょっと驚きの厳しさです)
新兵募集難&離職者増への対応
「米海軍が採用の高卒条件撤廃」→https://holylandtokyo.com/2024/02/07/5522/
「空軍が募集年齢上限を42歳に」→https://holylandtokyo.com/2023/10/31/5184/
「空軍が24年ぶりに募集10%未達へ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/25/5035/
「入隊学力試験に電卓持ち込み可へ」→https://holylandtokyo.com/2023/08/29/4976/
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/