米軍の新兵入隊学力試験に電卓持ち込み可へ

募集難&応募者の学力不振不合格増を背景に
米大学入試に要提出のSATやACTで持ち込み可受け

ASVAB5.jpg8月18日付Military.com記事は、新兵応募者の基礎学力不足や応募者の減少を受け、米国防省が米軍への新兵採用学力試験(ASVAB:Armed Services Vocational Aptitude Battery)に、電卓計算機の持ち込み許可の方向で検討中と伝えています

米軍に入隊を希望するものは、学力試験と身体検査で基準を満たす必要がありますが、身体検査で肥満・麻薬使用等の理由で基準を持たさない若者の比率が増え、特に陸海空軍で募集目標数未達状態が続いているとご紹介してきましたが(海兵隊と宇宙軍は募集数小で募集状況は余裕)、学力面での受験者の能力低下も重い問題となっているようです

ASVAB4.jpg米国社会全体の状況として、大学入学を目指すものが希望大学に事前提出を求められる「SAT」や「ACT」試験のスコアが、2022年SAT試験で過去30年で最低レベルを記録し、受験者の25%以下の者だけしか、大学入学可能レベルとされる基準を満たさなかった惨状があり、特に低所得家庭出身者の学力低下が顕著だと公表されている模様です

米陸軍は昨年から、入隊希望者が試験を通過できるレベルに達するよう90日間の準備トレーニングを提供する「Future Soldier Preparatory Course」を開始し、約9200名の同トレーニング修了者のうち、約7000名が学力補習コースを、約2100名が身体改善コースを受講したとのことで、今後12000名の受け入れ態勢で臨む方針だそうで、学力問題の高い比率が示されています

ASVAB.jpg今回の入隊学力試験ASVABへの電卓計算機持ち込み検討が、いつ結論を得て実現するのか国防省関係者は明示せず、「電卓導入の影響をシステマチックに見積もり、導入に向けた道筋を検討している」と慎重な姿勢を示しているようですが、

既に大学入学希望者に求められる「SAT」や「ACT」試験では」以前から電卓持ち込みが認められている事や、長年にわたりASVAB試験の内容が学校教育現場での電卓活用や他の技術導入に対応していないとの批判もあり、導入は時間の問題と考えられている模様です

ASVAB2.jpgただし、前述の「SAT」試験結果が示す受験層の読解力や計算力の現状からすると、たとえ電卓計算機のASVAB試験へ持ち込みが許可されても、改善効果は限定的だとの見方もあるようです。

また米議会には、特に共和党議員から、米軍の募集難への対応策として行われている一連の「基準の緩和」(肥満や入れ墨や麻薬検査関連の基準緩和など)を快く思わない勢力も強く、今後どのような議論を経て結論に至るか予断を許さない状況にあるようです
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世界中で、軍隊への入隊希望者減少は深刻な問題であり、自衛隊も例外ではありません。「他山の石」として・・・

新兵募集難&離職者増への対応
「募集難に合法移民へ猛烈アプローチ」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
「兵士慰留に職種変更容易化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/05/12/4608/
「米空軍が体脂肪基準緩和へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/07/4494/
「歩きスマホやポケットハンドOK」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/

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