突然グアムで実弾ARRW極超音速兵器使用の講習会

3月17日に試験実施
試験の成否や結果に関する細部発表はなく、「関連能力に関する貴重な知見が得られた」とのみ声明
https://www.defensenews.com/air/2024/03/19/us-air-force-conducts-final-test-of-lockheeds-hypersonic-missile/

///////////////////////////////////////

緊急追加情報! 中国に見せつけるARRW発射試験

https://www.airandspaceforces.com/air-force-test-arrw-hypersonic-missile-pacific/
米空軍がARRW発射試験情報(航行危険情報)を公示
3月5日から3月10日の間に実施予定
マーシャル諸島クェゼリン環礁(Kwajalein Atoll)試験場で
グアム基地の2500マイル南東から射程2100マイルで
最終試験を西太平洋で実施し、HW探知追尾能力も検証か
///////////////////////////////////////////////

23年3月に装備化断念発表のARRWをなぜ最前線基地に?
極超音速兵器全体の基礎を学ぶ講習会と説明も
突然のB-52HとARRWと受講者写真公開に波紋広がる

Guam ARRW2.jpg2月28日付米空軍WEB サイトが、アンダーセン基地([コピーライト]グアム島) 広報が配信した同基地で開催の「極超音速兵器講習会:Hypersonic Weapon Familiarization Training」の様子を、10枚の講習模様写真と短い説明文で掲載しましたが、米本土の開発基地から「門外不出」だった当該兵器が、いきなり最前線基地グアムに現れ、しかもそれが実弾で B-52H爆撃機に搭載されていたことで、軍事メディア や専門家らが大騒ぎとなっています

まず基礎情報として、米空軍の極超音速兵器(以後は HW と表記)開発は・・・
(なお米軍と米海軍は、共通部分が多い地上発射型と艦艇発射型を共同開発中で、隆軍は2023年に最終試験を行ってワシントン州の部隊で実配備開始予定だったが、2024 年に最終試験がずれ込み 遅延中。海軍の進払と合わせ、細部は末尾の過去記事等を参照)

●Kendall空軍長官は、中国はA2AD 戦路で米軍を遠ざけたいからHW を重視するが、米国は中国の高価値目標攻撃用(地上 C2 施設等)の一つの選択肢として保有し、、それは中国抑止のためだから、空軍内の優先度や重要性はそれほど大きくないと位置づけ

●爆撃機搭載の ARRW(Air-Launched Rapid-Response Weapon)
Guam ARRW3.jpg・ロッキード開発のブースト&グライド方式で、短射程
・当初開発不調で2回試験に失敗も、2022年 12月に初成功後、2023年8月と10月にも成功

・しかし2023年3月末、Kendall 長官とHunter 調達次官補が、ARRW は開発までで、調達はせず、HACM に注力と発言 (ただ2024年に地上目標攻撃を含めた ARRW 最終試験を実施し、データ等取りまとめ、後の開発案 件の資として残す)
・調達なし決定に際し Hunter 次官補は、「我々には計画があるが、公開の場では話せない」とのみ言及。2024年3月中旬議会提出の2025年度予算案には何らかの方向性が出る模様

●戦闘機タイプに搭載の HACM (Hypersonic Attack Cruise Missile)
・小型だがスクラム Jet エンジン等を搭載し長射程
・レイセオン主契約でエンジンはNG社
・2021年9月に3度目の正直で基礎試験に成功し、2022年 11月末にレイセオン社とプロトタイプ 開発契約を約180億円で締結

以上のような経緯の ARRWが、最前線グアムに突然登場でしかも実弾ということで、例えば3月4日付米空軍協会は驚きを表現し・・・・
Guam ARRW.jpg●過去の ARRW 開発試験はすべて加州エドワーズ空軍基地離発着で行われ、他の基地への展開など なかった開発中の兵器 ARRW が、対中国最前線のグアム島基地に突然現れ、、しかもそれが実弾を示す黄色いテープを巻かれている
●更にいきなりグアムで「極超音速兵器講習会:Hypersonic Weapon Familiarization Training」が開催&紹介され、約25名の兵士(第23爆撃飛行隊と第49 試験評価隊の兵士)が参加

Guam ARRW5.jpg●本講習の目的を空軍 web 記事は、「複数の航空機コミュニティーにHW(ARRW だけでなく、HACM や他のタイプも含め)の基礎知識を教育」、「HW 使用に関する討議を通じ作戦運用を考察」、「HWの兵站支援全般を理解」することと紹介。
●なぜ突然「HW 講習会」? 調達&部隊配備しない ARRW でなぜ? なぜグアムで?  なぜ実弾を? なぜこの配信をアンダーセン基地広報が? この後に試験発射を周辺で実施?・・・などなど、様々な疑問が飛び交う状況も、空軍からは一切追加情報なし

●B-52H には4発 ARRW が搭載可能だが、写真では1発しか確認できない。1発だけグアムへ?
●ちなみにARRWは、300発調達を前提とすると、1発あたり 22?26億円と推計され、隆海軍の地 上や艦艇発射用はその約3倍と言われている
/////////////////////////////////////////////////////

Guam ARRW4.jpgちなみに3月4日付米空軍協会 web 記事は、中国のHW である DF-17は「米海軍空母キラー」とか「グアムキラー」と呼ばれており、弾道ミサイルの先端に取り付けて射程延伸のオプションもあると 紹介しています

中国の不動産バブル崩壊やゼロコロナ政策に端を発する「中国経済崩壊」がますます顕在化する中、米軍も腰を据えて中国恫喝体制に入ったのでしょうか???

アンダーセン基地広報の写真10枚付き発表
https://www.andersen.af.mil/News/Features/Article/3690368/andersen-afb-hosts-hypersonic-weapon-familiarization-training/

米軍の極超音速兵器開発
「米陸軍の配備は24年に持ち越し」→https://holylandtokyo.com/2023/11/15/5224/
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://holylandtokyo.com/2023/06/01/4695/
「空軍がARRW配備断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「Zumwaltへの極超音速兵器契約」→https://holylandtokyo.com/2023/02/22/4313/
「バカ高い極超音速兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
「陸軍はあと2回試験」→https://holylandtokyo.com/2023/01/17/4107/
「3回連続ARRW試験に成功」→https://holylandtokyo.com/2022/12/16/4061/
「高価な兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
「潜水艦へは2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19 

迎撃兵器システム開発関連
「迎撃兵器を日米共同開発で」→https://holylandtokyo.com/2023/03/22/4438/
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ
お支援下さっている皆様、ありがとうございます!そのお気持ちで元気100倍です!!!●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月)●ランチサポーターの皆様(1000円/月)mecha_mecha様kenj0126様●カフェサポーターの皆様(...
タイトルとURLをコピーしました