無人機監視の網をすり抜け塹壕兵士に物資供給
露前線部隊@ウクライナ撮影の映像公開で話題に
ドローン監視で補給輸送部隊が活動不能な現代戦場
12月4日、ウクライナ南東部Avdiivka地域で活動中と思われるロシア軍部隊が撮影したと言われる映像がロシア御用メディア「Telegram」から公開され、手作り感満載の小型無人物資輸送車両が、最前線の塹壕を死守するロシア軍兵士に、ウクライナ側の攻撃をかいくぐりつつ補給物資を届ける様子が西側SNS上で話題となっています
手作り感満載の小型無人物資輸送車両は、長さ1.5m、幅1.2m、高さ40㎝程の大きさで、両端のキャタピラで前進する地を這うようなシンプルなもので、車両上面の平らな部分に補給物資を乗せて移動する構造ですが、映像からはロシア兵士がタブレット型端末で操作する様子も少し伺うことができます
米国の複数の専門家は「明らかに兵器工場で量産されたものではなく、市販部品や部隊が保有するありあわせの部品を組み合わせた感が漂うシンプルな無人車両であるが、現場のニーズを反映して機能を絞り込んだシンプルな構造と操作性で大きな戦力となっていることが伺える」とコメントしています。
また、「常続的な無人機による上空からの監視と、無人偵察機からの情報を迅速に入手して目標照準に活用する火砲部隊との連携が洗練され、ウクライナの戦場では前線部隊に有人輸送部隊が補給物資を届けることが極めて困難になりつつ事を示している」ともコメントしています
公開された映像は、複数のタイプの無人車両が、様々な場所で、様々な部隊と活動する様子を記録していますが、負傷兵を他の兵士が撤退させる映像も無人車両映像の合間に含まれていることから、負傷兵の輸送に活用した証拠映像はないものの、現場で負傷兵後送に活用されている可能性は十分にあると専門家は指摘しています
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第44ライフル旅団撮影と推測の無人輸送車両映像
https://twitter.com/i/status/1731374614071165077
例えば、ウクライナ軍前線部隊から西側への支援要望の中に、小型無人機対処用に、現在前線兵士が装備しているライフル銃に簡単に装着可能な、「人工知能活用の手振れ補正機能」付の照準用スコープが欲しいとの要望が多数上がってきているようで、スマホや家庭用ビデオ撮影カメラで「手振れ補正機能」を使い慣れた世代からの現場の声として注目されています
小型無人機対処は米国防省が最優先課題として取り組んでおり、レーザー兵器、電磁パルス兵器、機関銃タイプやレーダー照準タイプ、網で無効化する方式など様々な新兵器が企業から提案されていますが、やはり現場の声を聴くことも極めて重要だと考えさせられます。いつの時代にも、現場の様子は異なれど、手っ取り早い&効果的なアイディアは現場の声から生まれるような気がします。この「手作り感満載の」小型無人輸送車両を見て改めてそう感じました
米陸軍ウクライナの教訓
「米陸軍が評価中の様々な教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/10/13/5129/
「22年6月:米陸軍首脳が教訓を」→https://holylandtokyo.com/2022/06/01/3245/
様々な視点からウの教訓
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/