2022年12月の初披露後の動静不明
年末までに初飛行と低レート生産契約締結予定に変化なしと
インフレ対処費用として国防省から85億円とNG会長
7月27日付米空軍協会web記事が、米空軍次期爆撃機B-21の開発製造を担当するNorthrop Grumman社・Kathy Warden会長の第2四半期定例会見発言を取り上げ、2022年12月2日の機体披露セレモニー以降、全く動静が不明な「2023年に初飛行予定」の同機について、「最近(第2四半期内)、初のPower On試験を実施し、引き続き初飛行に向け予定通り」との言葉を紹介しています
昨年12月の初披露式で同会長は、「まもなくエンジン稼働や地上走行試験のために、Palmdale工場建物の外に出ることになろう」とスピーチしていましたが、その後7か月経過した今まで、工場外で目撃されたとの報道はなく、様々な憶測が飛び交っているところでした
B-2爆撃機が1988年に初飛行を行った際は、機体の初披露から9か月後の初飛行でしたが、既に明らかにされているB-2と同じルート(Palmdale工場から近傍のEdwards空軍基地まで)をB-21が何時初飛行するのかは全く不明です
米空軍関係幹部は以前、「B-21初飛行の時期を事前に発表することはないだろうが、屋外での各種試験頻度が増加する等の状況から、初飛行が近づきつつあることが推測可能となるだろう」と述べていたところです
なおB-21の初飛行時期については、2021年初頃は「2022年中頃」とされ、2022年5月には「2023年に後ろ倒し」と明らかにされ、今年3月になってKendall空軍長官が「更に数か月遅れるが、2023年中には初飛行を実施予定」と語っているところです
NG社のWarden会長は更に、「初飛行後に低レート初期生産(LRIP:low-rate initial production)契約を結ぶことになろうが、昨今の物価高騰もあり、LRIP契約期間中に儲けが出るとは考えていない」、「インフレ対策費として国防省から、2023年用の約85億円を追加予算として提供を受ける予定」と語り、
更に、「Digital Thread手法(開発当初からの関連デジタルデータを追跡可能な形で整理管理して製造やトラブル対処の効率性向上につなげる方法)導入により、製造段階では15%の効率性向上を見積もっている」、「インフレ状況については、引き続き国防省と緊密にい意思疎通を図っていく」とも説明しています
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開発の最終段階まで「優等生だった」KC-46が、完成まであと少し段階からのトラブル連続で4年以上も遅れ、第一級不具合を抱えたまま空軍輸送コマンド司令官のリスク覚悟の決断で、2022年9月に無理やり「初期運用体制確立IOC」を宣言した負の記憶がどうしても頭から離れません
米国防省の主要開発プロジェクトの中で、唯一残された「順調」「計画通り」と表現できるB-21爆撃機開発の安寧を、改めて祈念申し上げます
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