残り数機のKC-10空中給油機運用は2024年10月まで

NJ州McGuire基地での運用は6月22日まで
KC-135より導入が後のKC-10が先に退役へ

KC-10 McGuire4.jpg5月12日付米空軍協会web記事は、KC-46空中給油機の部隊導入に伴い、1980年代から運用開始した総計60機のKC-10空中給油機(旅客機DC-10がベース)が残り数機の部隊配備機を残し、実質的な作戦運用を終了しつつある様子を伝えています

米空軍は現在、1957年運用開始のKC-135給油機(B-707ベース)を約380機、1981年運用開始のKC-10を数機、そしてRVS等に第1級不具合を抱えつつも実戦投入を開始したKC-46給油機を約70-80機程度(計177機調達予定)を運用していますが、導入開始がKC-135(計800機調達)よりも遅いKC-10(調達機数60機)の方が、保有機数や原型機の運用状態等から機体の維持整備がより困難で高価となり、2024年10月に完全早期退役を迎える予定となっています

KC-10 McGuire.JPGKC-10は、NJ州のMcGuire基地と加州Travis基地に残されているようですが、先にMcGuire基地配備機体が6月22日に「ゼロ」になるようで、5月11日に最後の訓練飛行を同基地から行ったと記事は伝えています。細かく説明すると、15日の週にエアショーでの展示飛行を行った後、6月21日に基地でのお別れ式典を行い、6月22日にアリゾナ州のDavis-Monthan基地「通称Boneyard」にMcGuire基地最後の機体が移管されるとのことです

McGuire基地は2021年11月からKC-46給油機を受け入れ始め、現在同機を11機保有し、2026年度には23機体制を整える予定になっているようです。

KC-10 last.jpg米空軍の説明では、KC-46はKC-135の後継機であり、KC-10後継機は「KC-Y」として検討中となっていますが、米空軍は「KC-Y」の機種選定を行うとドロ沼化必至(ボーイングVSロッキード&エアバスの再燃)と恐れており、KC-135後継「KC-X」に続き、「KC-Y」もKC-46で軟着陸させたい意向がにじんでいる昨今の雰囲気です

McGuire基地での最後の訓練飛行となった5月11日のフライトは、女性大尉が機長で実施された様で、クルーの記念撮影写真が公開されています

KC-10 McGuire2.jpg米空軍では最近、爆撃機でも戦闘機でも、古い機体からではなく、維持が困難になった機体から退役する傾向にあり、爆撃機であれば老体B-52が残ってB-2やB-1が先に退役予定で、戦闘機でもF-16が改修を重ねつつあと2-30年以上飛びつ付ける計画の一方で、F-22初期型の退役が近く始まろうとしているところです

KC-135よりも大型で貨物搭載スペースがあり輸送能力が高かったKC-10ですが、McGuire基地所属機が亡くなると2-3機が加州Travis基地に残るだけになるようです。お疲れさまでした・・・

「KC-Y」をKC-46に軟着陸させることができるのかが気になるところですが、退役するKC-10の様子を静かなうちにご紹介しておきます

空中給油機体系の検討関連
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官がステルス給油機に積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「空軍がKC-YとKC-Zの検討予定に言及」→https://holylandtokyo.com/2022/08/26/3558/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/

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