次期制空6世代機の企業選定開始!

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提案要求書の原案を関連企業に提示し質疑開始の模様
米空軍は2024年に(a contract by or in 2024)契約と
内容についてはほとんど非公開

CCA NGAD4.jpg5月18日、米空軍が次期制空機NGAD(Next Generation Air Dominance)の要求性能に関する文書(solicitation:非公開)を、関連企業(対象企業非公開)に配布し、2024年の契約締結に向けた選定業務を開始したと発表しました

どのような位置づけの文書かも明らかではありませんが、一般的には、正式な提案要求書(RFP)を発出する前の原案を企業側に提示し、内容が不明確な部分などに関する質疑期間を設けて文書を精査し、数か月後に正式な提案要求書として企業に提示し、3か月程度の期限で企業提案を受け付け、受け取った各企業の提案を数か月かけて評価するのがスケジュール感ですが、この流れだと2024年末の決定となる概算となります

NGAD9.jpgNGADに関しては、2020年9月にRoper調達次官補(当時)が、「NGADは既にプロトタイプの初飛行を実施した」と明らかにして世界中が仰天したのですが、18日の発表では「プロトタイプ機初飛行」に関連した企業のみが対象なのか、新規参入希望企業も対象なのか、対象企業は何社か・・・等々の質問には米空軍は答えない姿勢だったようです

ただし、2022年8月に行われたNGAD用の次世代エンジンAETP契約に、エンジン開発企業「以外」で含まれていたボーイング、ロッキード、Northrop Grummanが、その実績からも企業選定の対象だろうと一般的には考えられています

NGAD7.jpgなお、前出のRoper次官補が当時ぶち上げた「以後の戦闘機は50-100機程度しか製造せず、8-12年サイクルで最新技術を取り入れた新型戦闘機を導入して陳腐化を避ける」との構想は、現在のKendall空軍長官が「制空機はそんな短周期で入れ替わり可能な単純なシステムではない」とバッサリ切り捨てています

またNGADには、NGADに随伴することを想定している無人ウイングマン機CCA開発と併せて、2024年度予算案に約2700億円が計上され、今後は年々増額されて5年間で約2兆2000億円を研究開発費として投入するとの構想案を米空軍は示しているところです。

以下では米軍事メディアが報じた米空軍18日発表から、NGADへの要求事項概要を紹介します
NGAD6.jpg●(family of systemsとして)融合した兵器システムとしてのsolicitation(直訳:情報などの要望書)を発出した。企業選定の段階であり、設計や製造に関するsolicitation細部には現時点で言及しない
●NGADへの要求性能には、破壊力強化、生存性・相互運用性・全ドメインとの連携性などが求められ、かつ強固に防御された厳しい環境下でこれらが遂行可能なことが含まれている。これらをより適切に可能なのは米空軍だけであり、この分野で前進しなければ、敗北が待っている

●NGADは、制空任務(counter-air missions)と対地攻撃任務(to strike ground targets)を担う。また空軍発表は敵防空能力制圧・破壊(Suppression/Destruction of Enemy Air Defenses (SEAD/DEAD) mission)の任務を担うことも示唆している(seemingly suggested)

NGAD5.jpg●NGAD計画を通じ、米空軍は軍需産業基盤の拡大と刺激を狙っており、オープンアーキテクチャーを追求し、NGADの能力向上時に競争原理を働かせると同時に、機体維持整備費の縮減を図る
●F-35で維持整備費が大きな問題となっていることを受け、長期的に維持整備収入が見込めることも踏まえ、維持整備費を低く抑える誘因が働くようなインセンティブを設定する
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次期制空機NGADに関しては、Kendall空軍長官から以下のような情報が出ています
・NGADは1機数百億円(空軍長官22年5月)
・NGAD調達機数を200機と仮置きし、無人ウイングマン機CCA必要数1000機を導いて2024年度予算を立案(空軍長官23年3月)
・NGADは航続距離短めの欧州型と長いアジア太平洋型になろう(空軍長官23年5月)

NGAD 2023AFA.jpgF-22後継機の位置づけにある次期制空機NGADは、F-22が退役予定の2030年頃以降の導入予定と認識していますが、別計画で進む無人ウイングマン機CCA計画は、2020年代後半導入開始を目指して先行的に進むと4月に空軍幹部が突然明らかにし、「必要だろうけど、なぜ突然そんなに慌ててるの?」との疑問が界隈から聞かれたところです。

米空軍参謀総長人事と併せ、注目してまいりましょう

AETPエンジン開発と米空軍
「AETP開発を機体メーカー含め契約」→https://holylandtokyo.com/2022/09/01/3581/
NGAD関連の記事
「欧州型とアジア太平洋型の2タイプ追求」→https://holylandtokyo.com/2023/05/10/4604/
「NGADは1機が数百億円」→https://holylandtokyo.com/2022/05/09/3193/
「NGADの無人随伴機開発は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-20
「無人機の群れ前線投入が課題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/28/3474/
「デモ機が既に初飛行済」→https://holylandtokyo.com/2020/09/17/482/
無人ウイングマンCCA関連
「CCAを2020年代後半導入へ」→https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「空軍長官:NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
米空軍の戦闘機構成議論
「戦闘機の近未来体制は」→https://holylandtokyo.com/2021/05/21/1709/
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/

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