現有輸送機を対象に何が出来るかの分析実施
Reliable Roboticsとの民間機も手掛ける企業と
対中国での空輸要求増に備え既存輸送機の最大活用
2月8日、Reliable Robotics社が米空軍と、輸送機の自立運用(autonomy:省人化から無人化までを含む多様なレベルの自動化イメージ)に向けた「feasibility:実行可能性」検討契約を結んだと発表し、過去3回(2021年5月、2022年4月、2022年10月)の同様の小規模革新研究に続く4つ目の契約だと説明しました(過去3回の契約内容は不明)
米空軍輸送コマンドはこれまで、対中国作戦では米本土等から大量の輸送所用が発生することから、既存輸送アセットを最大限有効活用するため、輸送機や空中給油機の連続飛行時間延伸テストや、現状より少人数での航空機運用にチャレンジしてきましたが、今回の契約では、Reliable Robotics社が民間大型機でも検討を進めている省人化や無人化技術を、どの程度空軍輸送機に適用できるかを、空軍と協力検討するとのことです
同社副社長でであるDavid O’Brien退役空軍少将は・・・
●わが社が持つ様々なオプションや技術を、米空軍の様々な機体と米空軍のニーズを踏まえつつ、どのように組み合わせると何が可能かを、米空軍と議論を重ね、機体の現状を把握しながら検討していく事になる
●空軍が(対中国の作戦エリアである西太平洋地域で)輸送機をどのように運用しようと考えているか、どのような環境で何が求められているのか、どのような自立運用が役に立つのかを話し合っていく事になろう
●現有輸送機を、任務に応じて、遠隔操作で無人運用する手法、最小限の搭乗人員で運用する手法、フル人員で運用する場合など、様々な場面で省人化を進め柔軟性を増す方向で検討を進める。仮に空軍が現在と同じ任務を自立運用技術を活用して行えば、輸送速度や輸送テンポを上げることができ輸送機の活用度が向上できるだろう
●米空軍は戦闘空域での作戦機の自立運用や無人機化に注目してきたが、輸送機にも適用可能なことがあり、作戦投入可能な輸送機増や輸送量増に焦点を当てた手法を追求している
●わが社の技術は現有機の操縦席を取り除くことなく、機体の天井や側面に設置導入するもので、現有の操縦機能や装置を生かしたまま継続使用できる点が特長であり、また空軍輸送機に近い民間機にも我が社技術へのニーズが高まっており、民航機への適用技術をそのまま空軍機が利用可能である点でも米空軍の関心が高い
●民間機への導入技術については、既に連邦航空局FAAの使用承認申請に進んでいる技術もあるが、空軍との関係では、まず空軍ニーズと期待特性を踏まえたオプションや「feasibility:実行可能性」検討を進めることになる
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企業側からの発表であり、またこれから「feasibility:実行可能性」検討を行う契約ですので、きわめて抽象的な内容の記事紹介になってしまいました
機体の自動操縦技術は既に高度なレベルにあり、事前にデータ設定することで、離着陸も含め脅威が低い空域での輸送機運航であれば、現在でも十分無人運用が可能だと思いますが、人員や組織定員の削減が絡む問題は、硬直的な軍組織では、軍事的合理性以外の要因にも大きく左右されます
ですので、過去3回のReliable Robotics社と米空軍の契約業務の結果について報道された記憶がありませんし、輸送機を対象とした今回4回目の検討結果も、直ちに表に出ることはないと思いますが、対中国作戦に必要な輸送能力が圧倒的に不足しており、様々なオプション検討が行われていることを覚えておきましょう
対中国での輸送力不足対処
「大型水上離着陸機の候補発表」→https://holylandtokyo.com/2023/02/15/4268/
「民間海空輸送力を対中国で活用検討」→https://holylandtokyo.com/2022/10/21/3780/
「ウの対中国教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「無人艦艇を電車のように連結構想」→https://holylandtokyo.com/2020/06/12/622/