米空軍が新電子戦機EC-37Bの初号機受領

EC-130後継機として10機調達予定
ビジネスジェットGulfstream G550に装備搭載
搭載装備に大差なしも、航空機性能大幅向上

EC-37B.jpg9月12日、米空軍EC-130電子戦機の後継機として、10機導入が予定されているEC-37B Compass Callの初号機が米空軍に引き渡され、今後米空軍による性能確認&運用試験が開始されると、製造企業であるBAE SystemsとL3Harris Technolgiesが発表しました

また(恐らく)同日、米空軍戦闘コマンド司令官であるMark Kelly大将は記者団に、「EC-130の老朽化が進む中、もっと早期に導入しておくべきだった戦力だ」と予算状況に不満を示しつつも、「EC-37Bのジャミング能力は、米軍の海上および航空戦力を防御し、友軍が敵エリアに接近することを可能にする」と新型機に期待を示しました

EC-37B 2.jpg同司令官はEC-37Bについて、搭載電子戦機材については、能力向上改修を継続的に続けてきたEC-130と大きな差はないとしつつも、EC-130が速度300ノット程度で上昇高度限界が25000フィートであるのに対し、ビジネスジェットGulfstream G550を原型として機体の信頼性が証明済のEC-37Bは、速度600ノット弱で同高度40000フィートが可能で、

同機の任務である敵の通信やレーダーや航法システムに対する電子妨害により、例えば敵兵器と指揮統制システムとの連携を妨げ、敵の防空兵器システムを無効化することを、より広範囲に所在する敵に対して行うことができる、と説明しました

EC-37B 3.jpg更に同大将は記者団の質問に応え、米空軍が開発&導入を急いでいる無人ウイングマン機CCA(collaborative combat aircraft)が担う電子戦能力との住み分けについて、CCAがEC-37Bの取って代わることはなく、EC-37Bの能力を、F-35やF-15EXやCCA搭載の電子戦装備が補完するようなイメージだと説明しました

また今後のEC-37B性能確認&運用試験の中で、基本的な性能や自機システムへの干渉影響を確認するとともに、F-35やF-15EXやCCA等と共に同じ作戦エリアで活動する際に、「電子的有軍相撃」を起こすことなく、各電子戦アセットがうまく融合するように種々の確認を行う予定だ、とも述べました
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秘匿性の高い「電子戦」に関する新装備の導入ですから、いつ企業から空軍に引き渡されたのか、2023年5機導入や試験予定などなど、具体的なことに空軍側も企業側も一切言及しなかったようですが、順調であることを期待します

EA-18G 2.jpg米空軍は「米空軍にはステルス戦闘機やステルス爆撃機があるから大丈夫」との理屈で、使い捨て電子戦用デコイMALD配備はありますが、F-4G PhantomとEF-111 Raven後継機導入計画はなく、唯一戦闘機タイプの電子戦機である海軍EA-18Gの空軍など他軍種支援用機体も、2025年には退役する予定です

F-35や次期制空機NGADにばかり資金を投入して、電子戦機のような重要な脇役への投資が疎かになっているのでは・・・と米空軍OBから懸念の声が上がっているところです

海軍EA-18G電子戦機の他軍種支援用が2025年に退役
ウクライナ支援でドイツに展開の米海軍EA-18G
「大御所米空軍OB研究者が大懸念」→https://holylandtokyo.com/2022/05/27/3249/

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