NASAの月面探査計画の「アルテミス」宇宙船を利用し
チェルノブイリ原発跡で発見された放射線に強い真菌の特性調査
将来の宇宙活動に備え放射線防護の仕組みを菌から学ぶため
12月11日、NASAによる50年ぶりの月探査計画の第1弾準備宇宙船「Artemis I」が、25日間の宇宙飛行を終えて大西洋上に帰還しましたが、この宇宙船に国防省として初の生物学的実験用のサンプルが搭載されていたとして話題になっています
「生物学的実験用のサンプル」と聞くと、生物兵器のような印象を与えて身構えますが、チェルノブイリ原発事故現場で見つかった強い放射線環境の中でも繁栄し続けている「Aspergillus Niger」との「黒化した真菌」から、放射線防護の仕組みや放射線から人間を守るヒントを得られないか、米海軍研究所(NRL)が取り組んでいる研究のための実験です
この「Aspergillus Niger」は地球上で身近にある真菌(fungus)ですが、1986年に発生したチェルノブイリ原発事故後の高レベル電離放射線 (紫外線、X、およびガンマ線) が存在する環境でありながら、同原発の損傷した原子炉壁を覆いつくして繁殖を続けており、これまでの国際宇宙ステーション(ISS)での実験でも、宇宙放射線を苦にすることなく、むしろ放射線の恩恵を受けて発芽と成長を続けることが確認されています
海軍研究所の同研究プロジェクト担当Zheng Wang 博士は、将来米軍が巻き込まれる可能性がある「核戦争」や「核降下物:nuclear fallout」から兵士や国民を守る方法を探るため、更に米軍宇宙船の宇宙放射線環境での耐性を高めるために、「Aspergillus Niger」の放射線からの自己防御の仕組みを解明し、人間や宇宙船を保護するためのコーティング材など作りたいと考えています
今回の宇宙船「Artemis I」による25日間の宇宙滞在は、ISSのような地球周回低高度軌道での滞在とは異なり、2回月に接近する宇宙飛行から、同じ期間でも2倍の放射線を浴びる環境が得られることから、海軍研究所の研究者にとって貴重な実験データが得られると期待されています
チェルノブイリのような場所での放射線は宇宙放射線とは異なりますが、どちらも人間に危険をもたらす点で同じ放射線であり、宇宙船「Artemis I」での搭載実験は環境の違いも踏まえつつ10年の準備期間を経て実現したものだそうです
具体的には、「Aspergillus Niger」の自己防御機能の秘密は「メラニン」にあると推定されていることから、同真菌のメラニン欠乏症タイプやDNA 修復メカニズムが欠損したタイプも「Artemis I」で宇宙に送り込んで、通常の「Aspergillus Niger」との影響の出方等を比較観察した模様です
宇宙船「Artemis I」に搭載されたサンプルの分析は今後進められますが、2023年3月にはSpaceXのロケットで異なる同真菌サンプルをISSに持ち込む実験が予定され、翌2024年には南極で寒さ等が同真菌に与える影響の確認実験が計画されているとのことです
また、NASA関連宇宙ミッションの活用だけでなく、拡大を続ける米宇宙軍の宇宙アセットを活用した関連実験も海軍研究所Wang 博士は検討していると語っています
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チェルノブイリ原発の残骸でたくましく増殖する「Aspergillus Niger」に自然界の奥深さを感じるとともに、自然の中に放射性物質の半減期を早める力が備わっていないか? そんな研究をやってるところは無いのか?・・・などと妄想してしまいました
このような地道で興味深い研究が、宇宙環境を利用してますます推進されんことを祈るばかりです。きな臭い宇宙兵器のことばかりでなく・・・
ここで実験されているかも・・・
謎の宇宙事件船X-37B関連
「908日宇宙滞在後に帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/11/24/3952/
「宇宙滞在記録を更新中」→https://holylandtokyo.com/2022/07/29/3458/
「6回目:少し情報公開?」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11