今年2回目のサイバーフラッグ演習を概観する

6月21日開始の今年2回目の同演習
サイバー対処チームの最適編成見極めを狙いに
同盟国や他政府機関チームも参加し相互に学ぶ
V訓練空間で8つのタイムゾーンからオンライン参加
10月の3回目は「Five Eyes」国参加予定

Cyber Flag.JPG6月22日付C4ISRnetが、同週に米サイバーコマンドが実施した今年2回目の演習「Cyber Flag 21-2」を取り上げ、ナカソネ司令官の今年の優先実施事項「(25名前後で編成される」サイバー対処チームの再構築」推進のため、どのような編成・構成のチームが最適かを見極めるために実施されたと紹介しています

演習には米軍、州軍、英軍、カナダ軍の他、下院チームや米郵政サービスなど17チーム約430名が参加し、仮想のアジア太平洋同盟国の物資補給施設(allied logistics support depot)に対する2種類の攻撃、「より高度なdenial and disruption攻撃」と「程度の高くない情報窃盗型攻撃」シナリオに取り組み、最優秀チームを表彰する形で行われたようです

Cyber Flag4.jpg演習は昨年創設されたサイバー演習場「PCTE:Persistent Cyber Training Environment」で実施され、参加チームは8つの異なるタイムゾーンにある各職場からオンラインで参加したとのことです

同演習空間を使用した昨年の演習では、参加チームの任務遂行態勢を評価して任務態勢を認定する(validate teams)することに主眼があったようですが、敵のサーバー攻撃手法や技術が目まぐるしく変化していることから、今年は最新脅威想定シナリオで、現在のサイバー対処チームの編成・構成が適切なのかを評価し、2022年度予算で要求しているサイバーチームの増設と改革の資を得ようと計画された様です

Nakasone.jpg更に、ナカソネ司令官は「ベストプラクティスの抽出と共有」を重視して同盟国や軍組織以外の参加を促進し、広く知見を学んで共有し、全体としての能力アップを目指しており、米郵便サービスや英国チームに仮想演習場PCTE使用の支援を積極的に行い、彼らに能力を発揮してもらうことに最善を尽くす準備を行っています

事柄の性質上、演習の細部については明らかにされていませんが、関係者のコメント等から、米サイバーコマンドの取り組み概要をご紹介しておきます

6月22日付C4ISRnet記事によれば
Cyber Flag3.JPG米サイバーコマンドの演習部長であるChristopher Bartz沿岸警備隊少将は、「我々は継続的に我が部隊の能力を評価し、敵の脅威と比較して不足部分(Gap)を見極めている。また、敵のTTP(戦術、技術、手順)を常に分析し、敵の変化速度に追随して我の訓練の在り方を見直している」と語った
また、「演習では、例えば様々な飛行部隊と共に行動し経験を持つチームや、他の政府機関のチームにも声をかけ、どのような防御作戦手法をとっているのか披露してもらい、国家安全保障のために米国で教訓やノウハウを共有できるように考えた」と説明している

Paul Nakasone司令官は、「サイバーコマンドは国防省ネットワークの防御という任務を確実に遂行しつつ、地域戦闘コマンド司令官に信頼してもらえるようともに取り組んでいる」と議会で述べ、今年の優先事項として「サイバー防御チームの再構築」を掲げている

Cyber Flag2.JPGサイバーコマンド幹部は、今年3回目となる「Cyber Flag 21-3」を10月に予定しており、「Five Eyes intelligence alliance」を構成する、英、加、豪州、NZからの参加を得て、演習のさらなる充実を図る予定だ、と述べている
使用されるサイバー演習場PCTEは、初使用した昨年から5倍の容量に拡大されており、同時に多様な参加者から質問に対応できるような「サポートデスクの常設」や「チャット機能の充実」等を通じ、その使い勝手向上にも尽力している
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追伸:英IISS公表の15か国サイバー能力分析をご紹介
(6月末:Cyber Capabilities and National Power: A Net Assessment)

Cyber IISS.jpg15か国をサイバー能力別に3段階で評価。「戦略とドクトリン」「サイバー空間における世界的リーダーシップ」など7項目で分析
最高の「第1級」は米国のみ。「第2級」は豪州、中国、仏、露、英国など。「第3級」は日本、インド、インドネシア、イラン、北朝鮮など

「少なくとも今後10年は米国の優位が続く可能性が高い」とする一方、中国が「第1級の米国に加わる軌道に乗っている」とも評価
米英など機密情報共有枠組み「Five Eyes」の同盟国として仏、イスラエル、日本を挙げたが、仏とイスラエルを「高いパートナー」と評価したのに対し、日本は「同じく同盟国だが、強力な経済力にもかかわらず、サイバー空間の安全保障面では能力が低い」と指摘

更に日本について、「多くの企業が防衛力強化のためのコストを負担しようとしない」などと問題点も列挙
・・・そんな状況ですから、日本も自衛隊は言うに及ばず、様々な機関や企業がサイバーフラッグに参加できれば良いと思います

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