2021年8月の独海軍フリゲート艦アジア派遣に続き
欧州諸国の対中国への姿勢を示す1か月以上の長期派遣
A400M輸送機4機とA330空中給油機3機と共に展開
8月15日午後、ドイツ空軍のタイフーン戦闘機6機が独空軍基地(Neuburg)を飛び立ち、中東アブダビ経由で24時間かけA400M輸送機4機とA330空中給油機3機と共にシンガポールに展開しました。今後更に豪州北部のダーウィンに移動し、8月19日から9月9日の間で実施される多国間空軍演習「Pitch Black 2022」に参加します
このドイツ空軍戦闘機初のアジア太平洋地域への展開は、昨年8月の独海軍フリゲート艦「バイエルン」の派遣(6か月間に12港に寄港)に続く独軍のアジア太平洋関与姿勢を強調するもので、2020年にドイツ政府が発表したアジア太平洋戦略文書や、今年NATOが発表した「Strategic Compass document」に基づき、「欧州とアジア太平洋を結ぶサプライチェーンルートへの障害は、ドイツに大きな問題をもたらす」との危機感を背景に、遠く離れたアジアへの関与を深める姿勢を改めて明確にするものです
多国間空軍演習「Pitch Black 2022」は、インドを含む周辺アジア諸国のほか、米英独仏蘭加やUAEも参加し、日本と韓国とドイツが初参加で大きな注目を集めている大規模演習で、ドイツ空軍は空対空や空対地作戦や防空訓練に参加を予定していると発表されています
空軍演習「Pitch Black 2022」に参加後は、豪海軍との艦艇防御演習「Kakadu exercise」に9月12日から26日の間参加し、その後はシンガポール空軍との航空作戦訓練を行い、更に後には派遣部隊を分割して日本と韓国を訪問して訓練を実施するとのことです
ご紹介している写真のタイフーン戦闘機の特別塗装や訓練参加者用のワッペンをご覧ください。日本や韓国やシンガポールや豪州やUAE等の国旗をあしらった特別塗装やパッチから、「Rapid Pacific 2022」と名付けられた今回の派遣訓練に対するドイツ軍の意気込みが伺えます。
航空自衛隊も今回の「Pitch Black 2022」参加のため、豪空軍A330から空中給油特別訓練を受けて臨む力の入れようですので、対中国の包囲網が強固であることを示すため成果大なることを期待しつつ、独タイフーン戦闘機来日の際には大歓迎したいと思います
ドイツ空軍から航空自衛隊は、現在ドイツ空軍ではトーネード戦闘爆撃機が担っている「戦術核共有運用」について是非学んでほしいものです
ドイツやPB演習関連の記事
「独が戦術核共有にF-35導入へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「豪州A330給油機と空自F-2の給油適合試験」→https://holylandtokyo.com/2022/05/10/3211/
「独海軍艦艇バイエルンのアジア派遣」→https://holylandtokyo.com/2021/08/05/2076/