2035年導入予定の次世代戦闘機TEMPESTの技術実証に
TEMPEST連合のイタリア&スウェーデンほか日本との連携示唆
7月18日、ファーンボロー航空ショーで英国のBen Wallace国防相が、今後5年以内(2027年まで)にステルス性を持つ超音速戦闘機のデモ機を飛行させると発表し、2035年からの導入を目指しイタリアとスウェーデンと開発プロジェクトを組む将来戦闘機システム「TEMPEST」実現に向けた要素技術の基礎確認の機会にしたいと説明しました
同国防相は具体的な目標性能や必要予算などには一切言及せず、「TEMPEST」プロジェクトを組むイタリアやスウェーデンや、将来戦闘機開発で協力する方向を打ち出している日本との協力体制についても協議中と述べるに留めましたが、既に英国Prestonにある「TEMPEST」計画の拠点で、同計画の中核4企業(BAE Systems, Leonardo UK, Rolls-Royce and MBDA UK)と開発を開始していると明言しました
「TEMPEST」プロジェクトとは別に、英国と日本とイタリアは、将来戦闘機に関する「joint concept analysis」を実施中で、協力して何が実施できるかを今年中にまとめる予定ですが、この検討との関係も良くわかりません。
18日付Defense-News記事によれば
●Wallace国防相は、「デモ機作成は、我々の技術、技能、産業基盤が将来計画を進めるレベルにあるかを確認するために不可欠である」、「デモ機の設計や製造は、関連技術の融合や試験技量を実証することになり、2035年導入予定の将来戦闘機システム開発に関係する英国産業界に貴重なデータと教訓を提供することにもなる」と意義を説明した
●また同国防相は、イタリア企業との協力体制固めを精力的に進めていると述べるとともに、スウェーデンとの協力に加え「世界中の友好国との協力の利点を示すことになる」と述べ、日本との戦闘機開発協議が進む中での日本との連携についても示唆した
●デモ機開発を主導するBAE社CEOのCharles Woodburn氏は、現在運用されているTyphoon戦闘機(英独伊西共同開発)が数千の雇用を生み出し、「TEMPEST」プロジェクトにつながる技術基盤を育成したことに言及しつつ、このデモ機開発を「once-in-a-generation」のチャンスだと喜んでいる
/////////////////////////////////////////////
先日は、英国防省がTyphoon戦闘機のレーダー換装に追加予算を投入するとの話題を紹介し、日本のF-2後継機開発との関係を邪推しましたが、日本が米国一辺倒ではなく、戦闘機開発で英国との協力に乗り出そうとするときですので、英国の関連動向をチマチマとご紹介しておきます
英国は決して経済的に余裕があるとは言えませんが、欧州諸国と競ったり連携したりしながら、航空機開発技術&人的基盤を維持している点で、日本も参考にすべき点があるのでしょう。これだけの記事では、今回のデモ機開発の意味するところが良くわかりませんが、少しづつ学んでまいりましょう
英国の戦闘機関連話題
「英国がTyphoonレーダー換装推進」→https://holylandtokyo.com/2022/06/10/3303/
「英空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2021/05/19/1493/
「英国の138機F-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
欧州の戦闘機開発
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2