米空軍がABMS具現化第1弾でKC-46に中継ポッド

F-22とF-35のデータ共有を可能にする中継ポッド
約2年かけて練ったABMS構想を具体化するとの意思表明
全体像が見えないと懐疑的な議会説明がカギ

ABMS4.jpg21日、米空軍は約18か月かけて構想を練り、数回の実験演習を行ってきたABMS(Advanced Battle Management System)を具現化する時が来たと声明を発表し、第1弾として相互に通信できないF-22とF-35のデータリンクを繋ぐ中継ポッドをKC-46空中給油機に搭載するプロジェクトを行うと発表しました

このABMSは、多様な空軍アセットがセンサー等から入手した情報を迅速に共有し、前線から指揮官レベルまでがリアルタイムで共有できるシステム構築を目指すもので、これにより意思決定を迅速化して中国軍に対抗しようとするものです

ABMS.jpg迅速な情報共有配分の必要性は米国防省全体で危機感を持って認識されており、米国防省レベルではJADC2(Joint All-Domain Command and Control)とのプロジェクト名、米陸軍は「Project Convergence」、米海軍は「Project Overmatch」と呼んで、それぞれが保有するアセットを連接して迅速な作戦運用実現に着手し、米空軍のABMSはこれらを束ねる柱になろうと突っ走っています

具体的には、国防省やDARPAや陸海軍や多数の企業に声をかけ、ABMSの実験演習が2019年12月(米本土防衛対巡航ミサイルシナリオ)、2020年9月上旬(宇宙軍絡みの拡大シナリオ)と下旬(アジア太平洋シナリオ)に行われ、多様な連接・情報共有&指揮統制要領が試されました

このABMSを大々的に推進していたRoper空軍調達担当次官補が政権交代と共に空軍省を去り、その後は全くこの話が聞こえてきませんでしたが、2022年度予算案公表直前に米空軍が「本格的に取り組むぞ!」との声明を出し、その第1弾として第5世代機を繋ぐデータ中継ポッドを持ち出しました

21日付米空軍報道官発表や報道によれば
ABMS2.jpgBrown空軍参謀総長は声明で、「約2年間に渡る精力的な検討や実験演習を経て、ABMSが疑いないものであることを示すことができた。迅速でより良い意思決定のため、ABMSが陸海空宇宙サイバードメインの大量のデータを収集して共有することができると我々は示すことができた」と明言し
「ABMSは米軍を有利な立場に置くことが明らかであり、これを具現化してその力と能力を活用する時が来た」と訴えた

具体的には具現化の第一歩として、一部のKC-46空中給油機に、現状ではステルス性維持のため相互にデータ共有ができないF-22とF-35データリンクの中継装置を、KC-46空中給油機にポッドとして搭載するプロジェクトを開始する
ABMS3.jpg担当する空軍迅速能力開発室RCOのRandy Walden氏は、「ABMSのCapability Release #1として中継ポッドの設計開発調達を進める」と述べ、併せて「ABMSの基礎を構成するデジタルインフラへの投資を加速し、意思決定速度で優位性を確保するため、賢く・素早く・打たれ強いsystem of systemsをもとめる米軍のニーズに対応していく」と語った

ただ、KC-46に搭載する中継ポッドが、何時、どの程度の性能で、どれくらいの数量提供されるのか等、プロジェクトの細部は一切明らかにされなかった
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本筋ではない「重箱の隅」ですが、今でも疑問に思います。同じロッキード製でありながら、相互にデータ共有ができないF-22とF-35がなぜ出来上がったのか・・・

ABMS5.jpg約2年前にABMSとの言葉が出始めた頃は、E-8 Joint STARSの後継との位置づけで語られ始めましたが、今や膨大なシステム群で構成される「system of systems」の様相を呈し、何が何だかよくわかりません

このような疑問は米議会も同じで、米議会は空軍に昨年時点で「今後全体像が良くわからない構想に、五月雨式に様々な装備要求が出てきそうだから、2022年度予算提出の際は全体像をしっかり説明しろ」と命じており、5月27日の2022年度予算案提出発表後に、様々な情報が出てくるものと思います

全ドメイン指揮統制連接実験演習:ABMS関連
「3回目はアジア太平洋設定で」→https://holylandtokyo.com/2020/10/05/425/
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holylandtokyo.com/2020/09/09/476/
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「今後の統合連接C2演習は」→https://holylandtokyo.com/2020/05/14/671/
「連接演習2回目と3回目は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-02
「国防長官も連接性を重視」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「将来連接性を重視しアセット予算削減」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
米海軍と海兵隊は我が道なのか
「米海軍の戦術ネットワークProject Overmatch」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-15
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「統合にデータフォーマットの壁」→https://holylandtokyo.com/2020/11/24/394/
実は米陸軍と空軍の2年計画は画期的だった
「米陸軍と空軍がJADC2コンセプト共同開発にゆるく合意」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-06

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