射程800㎞以下の制約が撤廃
米国は対中国に期待も、日本にとっては懸念材料のみ
まぁ、日本も射程を伸ばしているので、静観の構えか
5月21日、米韓首脳会談に臨んだ韓国大統領は会談後、「(韓国の弾道及び巡航ミサイル開発を制限していた)米韓ミサイルガイドライン撤廃に合意した」と米韓共同記者会見で明らかにしました。
下記でご紹介するように、1979年に米韓で設定された韓国保有弾道ミサイルに関する制限は、2012年には巡航ミサイルにも制限を広げましたが、北朝鮮側のミサイル開発に伴い順次制限が緩和され、日本の半分が射程に入る弾頭重量無制限の弾道ミサイル開発が可能となっていました
巡航ミサイルでは、既に射程1500㎞の兵器が10年前から配備開始されており、弾道ミサイルと合わせ少なくとも1500発以上を韓国は保有し、2000発まで増強する計画を持っています
25日付Defense-Newsは、韓国が射程1000~5000㎞の中距離弾道ミサイル開発に進み、潜水艦発射型の弾道ミサイルや極超音速兵器開発に進む可能性も高いと分析し、元韓国国防開発庁長官の「我々は長年に渡り長射程ミサイルの技術獲得を追求してきたが、米韓ガイドラインの制約で成しえなかった。しかし今や我々はどんなタイプのミサイル開発も可能になった」との言葉を紹介しています
米国メディアは、北朝鮮の脅威を背景に韓国が宿願を果たしたと報道していますが、一般の日本人にとっては「脅威」としか思えません。
記事末尾に紹介する日本の信頼できる専門家は、日本も長射程兵器導入に進みつつあり、「もはやお互い様になりつつあるので、放っておいた方がフェア」とのコメントですが、気になるので同ガイドラインの経緯や韓国弾道&巡航ミサイル概要をご紹介しておきます
韓国保有の弾道&巡航ミサイルへの制約経緯
(米韓の取り決めの経緯)
●1979年 射程距離180㎞以内 弾頭500㎏以下
一方で米国は、韓国に韓国産ミサイル開発のため技術提供を行う
●1997年 射程距離300㎞以内 弾頭500㎏以下
●2012年 射程距離800㎞以内 弾頭500㎏以下
(巡航ミサイルは、射程300㎞以上は弾頭500㎏以下、それ以外は無制限)
●2017年 射程距離800㎞以内 弾頭制限撤廃
●2020年 同条件:固体燃料ロケット開発同意
●2021年5月 全ての制約撤廃
韓国が既に開発中の中射程弾道ミサイル「玄武:Hynmoo」
●韓国は既に、下記の玄武-2と玄武-3を合わせて1500発以上保有しており、2000発まで増強する計画である
●韓国は既に弾道及び巡航ミサイルを保有している
— 弾道ミサイル玄武-1及び発展型の玄武-2は、射程距離800㎞以内
— 巡航ミサイル玄武-3は、射程1500㎞で201年に部隊配備と報道
●制限撤廃を見据え、韓国は中距離弾道ミサイル玄武-4開発中
— 射程800㎞以上、弾頭2トンのバンカーバスター型貫通弾
— 2020年3月に2発の発射試験
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ハドソン研:村野将さんのコメント(5月20日Twitter)
●元々の米韓ミサイル指針は、射程とともにペイロードの重量制限を設けていたというのがポイント。それが2017年の改定で、800kmの射程制限を残しつつも、ペイロード制限を撤廃していたので、この時点で既に有名無実化していた(ペイロードを軽くすれば、射程は伸ばせるので)。
●日本が既に取得することが決まっている各種スタンドオフミサイルや、将来的な高速滑空弾の射程延伸を踏まえたときに、もし韓国政府がこれに抗議してくるようであれば、指針撤廃に抗議してもいいような気がしますが、もはやお互い様になりつつあるので、放っておいた方がフェア
韓国が国として堂々とやっている一方で、日本は反日野党や反日メディアに気を使って「こそこそ」進めている印象で悔しいです。
もう一つ、ソウルと北京の距離は約920㎞で、中国政府の反応がどうなるのか興味深いです。どなたかご存じですか???
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