現在をA-10 F-15CD F-15E F-15EX F-16 F-22 F-35として
将来はNGAD F-35 F-15EX F-16か後継か35
TacAir Studyでは最適解1つではなく、複数オプションを
12日、Brown空軍参謀総長が講演で、年初に開始した将来の戦闘機構成を検討する「TacAir study」やその結果としての将来戦闘機の種類について現時点での考えを語り、「TacAir study」では最適解一つを導くのではなく複数のオプションを提示することや、戦闘機機数を現7機種から4機種程度に絞り込むと語りました
「TacAir study」開始時には、一つの最適解を提示するような勢いでしたし、「5世代機マイナス」の新機種検討まで明言していましたが、12日には複数状況に応じた複数案を検討するとの表現になり、「5世代機マイナス」との言葉も新機種検討をアピールすることもありませんでした。いろいろあったのでしょう・・・「急ぐ必要はない、今後8年ぐらいかけて(as long as eight years from now)」などとまで発言し、後退感は否めません
戦闘機機種の絞り込みについては、多機種だと維持整備が大変で、2030年代後半頃のイメージでNGADとF-35とF-15EXと「F-16かその後継かF-35など」と表現し、F-22やF-15Eは含まれませんでした。
また「TacAir study」については基本的に内部検討だと述べ、公にする可能性には触れず、米議会にもすべてを説明するつもりは無い様で、議会の理解を得る努力の重要性は強調しつつも、複数年度の予算に渡る事業であるため、必要な部分を必要な時に、予算要求のため説明するとの姿勢を示しました。
12日付米空軍協会web記事によれば
●12日、McAleese FY2022 Defense Programs 会議でBrown空軍参謀総長は、年初から開始した「TacAir study」は戦闘機構成の最適解を一つ示すのではなく、脅威の変化や様々な可能性が考えられるので、複数のオプション(a window of options)を提示するものになる、と述べた
●また、同検討は2022年度予算検討の基にもなるし、2023年以降の検討の基礎にもなると述べ、検討は統合参謀本部や国防長官室のCost Assessment and Program Evaluation室とも連携して行っていると説明した
●将来戦闘機の機種数については、現7機種から4機種プラスoneとなると語り、NGADとF-35とF-15EXと「F-16かその後継かF-35など」と表現し、F-22やF-15Eの名は上がらなかった
●これに関し空軍報道官は、Brown大将は長期的視点で述べたのだと説明し、A-10は2030年代まで運用する方向で検討していると述べ、「プラスone」はA-10だと語った。またF-22は当面引退することはないが「TacAir study」の結果次第だと述べた
●F-16に関しBrown参謀総長は、「当面の間ともに活動する」と述べ、後継については「F-35の調達増加か、他の機種になるだろう」と語った
●またF-15Eは2030年代には老朽化し、2030年代には退役だろうと述べた。F-15Eに関しては、F-15C/Dの後継として導入が始まっているF-15EXを、複座型に改良して機体強度をF-15E型レベルに強化する等で、F-15E後継にできるとの見方がある
●David Nahom空軍計画部長は同会議で、多様な機種を維持するコストが大きな負担で、機種を減らすことが重要だと語っている
●ただこれら機種構成の検討についてBrown大将は、「どの機種を何機将来保有するかについては、早急に答えが必要ではなく、8年ぐらいかけて検討することになる」と語り、「単年度予算で実現できないので、今プロセスを開始する必要があり、米議会との協力が重要になる」と述べた。
●また「事実と分析結果を踏まえて計画を議会に説明する必要があり、その分析に取り組んでいる」と説明し、更に軍需産業界との意思疎通も重要だと述べた
●無人機の導入について参謀総長は、今後多くの部分を無人機が占めることになろうとのみ述べ、最近のウォーゲームでも有人機と無人機の混合運用の重要性が示されていると語<り/span>、この事実から将来の飛行部隊の在り方や訓練方法についても大きな課題であり、「TacAir study」の検討対象だと説明した
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「TacAir studyは最適解を一つ示すのではなく、複数のオプション(a window of options)を提示する」とか、「8年ぐらいかけて検討する」とか、言われると、最初の勢いはどこへやら・・・と思わず言いたくなりますが、様々な圧力やしがらみの中で、検討を継続するにはこれぐらいの説明ぶりの方がやりやすいのでしょう・・・。そう信じておきましょう・・・
でもちょっと具体的機種名については「しゃべりすぎ」のような気がします。一つの最適解を出すつもりもないのに・・・とも思いますが、のろしを上げて各方面の反応を見ているのかもしれませんねぇ・・・
ワシントンDCは「魑魅魍魎」が住む世界だそうですから・・・。でも無人機機数に関する発言も慎重ですねぇ・・・。下手に発言すれば、黒人参謀総長の後ろには誰もサポートする人はいないのでしょう
TacAir study関連
「戦闘機混合比や5世代マイナス機検討」→https://holylandtokyo.com/2021/02/22/266/
「空母艦載機は2/3無人機に」→https://holylandtokyo.com/2021/04/06/100/
「戦闘機族ボスがNGADへの危機感」→https://holylandtokyo.com/2021/03/05/154/
「F-15EXの初号機受領」→https://holylandtokyo.com/2021/03/22/166/
「F-35への投資はどぶに金を捨てる行為」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/
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「戦闘機新調達方式などを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-24
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「人種問題を経験から語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-06-1