米空軍C-130を総動員で130個の装備パックも投下
前例のない米空軍と陸自の大規模空挺降下訓練
12日付横田基地発米空軍web記事が、3月9日から11日かけ、米空軍横田基地所属の第374空輸航空団C-130輸送機12機が、陸上自衛隊第1空挺団の大規模空挺降下訓練を「最大出撃態勢」で支援し、陸自空挺隊員500名と134個の梱包装備品パッケージを富士演習場に無事輸送&投下したと発表しました
「Exercise Airborne 21」と名付けられた大規模空挺降下訓練について、米空軍公式webサイトは「日米間の協力で行われた史上最大の兵員&物資空挺投下だ」と表現していますが、これだけの規模を航空自衛隊輸送機部隊が支えられるとは考えられず、日本史上最大の空挺降下訓練が行われたと表現して過言ではないでしょう
陸自空挺隊員500名のパラシュート降下の後、2日後に134個の梱包装備品パッケージ投下が行われた模様ですが、数か月も前から第374空輸航空団はC-130輸送機の整備計画を練り直し、保有機の80%以上に当たる12機の稼働機投入を可能にしたということです
12日付横田基地発米空軍web記事によれば
●米空軍C-130部隊訓練指揮官であるEspinosa大尉は、「この訓練の主目的は、陸上自衛隊が日本中どこにでも空挺降下で展開できることを示すことにある」、「この演習は、大規模空輸に関わる教訓や、今後の我が部隊の訓練をどうすべきかを考える上での教訓を与えてくれた。また、敵対国を抑止する上でも効果的な事例になったと考える」と演習を振り返った
●また同航空団整備部隊のPerkins少佐は、「この演習は一夜で準備できたものではない。保有機の80%以上の12機を出撃可能態勢とするために、広範な兵站支援を計画し、機内仕様を準備し、駐機場の運用を検討し、全てが組み合わさって演習を成功に導くことができた」、「この演習を通じ、12機の機体を数日間にわたり連続出撃させる経験を積むことができた。しかも日本との共同演習においてである。比類なき抑止力能力を示すことができた」と振り返っている
●実際にC-130機内で陸自隊員や物資に対応した空中輸送員Barnette上級軍曹は、「これだけの規模の兵員と物資を、搭載し、空中投下する任務は大きなリスクを伴うが、事前に準備段階で再整理したチェックリストに沿って着実に業務を進めることで、正確で安全な空挺降下を支援できた」と振り返り、
●「両国が任務遂行を通じて関係を深め、絆を強化することができた。これだけの規模の空輸ミッションは、私の空軍人生の中でも初めてだった。しっかり事前検討し、計画し、訓練して準備してきたが、実際にやり遂げることで、信じがたいほどの経験とすることができた。演習の担当部署のリーダーに指名され、第1空挺団と協力して任務を遂行できたことは素晴らしい経験だった」と語った
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現場の少佐や大尉クラスから軍曹のコメントをご紹介しましたが、経験の一つとしして貴重な大規模訓練だった・・・との内容です。多くが「抑止力」との言葉を使って語っているところが印象的です。日ごろから上司が「抑止力」との言葉を使って語っているのでしょう
日米間の作戦計画に、米空軍C-130部隊による陸自空挺団の輸送支援が含まれているとは考えにくく、また日本を取り巻く戦略&戦術環境で、第1空挺団が空挺降下して活躍する場面が思い浮かばないのですが、西太平洋地域で中国に押されっぱなしの日米両軍ですから、抑止力強化のため・・・との表現になるのでしょう。
相対的戦力では対中国で厳しい状態にある西太平洋地域ですが、地道な努力が続いていますので、現場の隊員の皆さんの努力に敬意を表し、「Exercise Airborne 21」をご紹介しました
横田基地関連の話題
「在日米軍司令官はアジアのベテラン」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-06
「横田のC-130はH型からJ型へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-07
「横田C-130部隊も富士山が好き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-06-12-1