米空軍が本格紛争用に小型軽量貫通弾GPAW検討へ

GPAW:Global Precision Attack Weaponだそうです
操縦席から多様な設定変更可能で自立群れ行動も可能な

F-35 Gilmore.jpg19日、米空軍が本格紛争用のGPAWと呼ばれる新型兵器開発に向け期待される性能や特性を公開し、今後1年間、企業の大小にかかわらず多様な提案や関連情報提供を受け付けることになりました

BAA(Broad Agency Announcement)との情報提供要望の中で示されたGPAWの構想には、具体的な部隊配備の希望時期は示されていないようですが、色々な希望性能が記されており、米空軍の中国やロシア等の「near-peer competitors」対処の考え方にも通じそうなのでご紹介しておきます

以下では米空軍の構想にある希望性能をご紹介しますが、陸海兵隊が長射程兵器重視に傾く中、スタンドオフ兵器だけでは勝てないと主張して陸海兵隊の動きをけん制し、スタンドイン兵器の重要性を訴えてきた米空軍の意地を感じる動きです

20日付米空軍協会web記事によれば
B-21 3.jpg米空軍は、作戦機に搭載する高度に柔軟性を持つ地上攻撃用兵器の調達に向けた動きを開始した
GPAWは、小型軽量で、大量に適切なコストで調達可能ながら、高度なセンサーと自立性を備え、強固に防御されたり、地中深くの目標も攻撃可能な野心的なレベル目指している

公開された情報提供要請BAAによれば、GPAWはF-35やB-21爆撃機の内部弾薬格納スペースに収納可能で、なおかつ、他の作戦機にも搭載可能なものを求めている
また、1機の航空機に多数搭載可能な小型兵器で、デジタル設計可能で、open-systems architectureを期待されている

F-15-JDAM.jpg更に、今後出現するだろう新技術を柔軟に取り込み可能な設計も求めており、その範囲には、position, navigation, and timing and guidance, navigation, control; cockpit-selectable warhead effect, fuzing, sensors, propulsion, “signature optimization” or stealthiness, “martime apps, multimode seeker, affordable mass, and autonomy/sensing 等が含まれる
運用環境としては、中国やロシアなどの「near-peer competitors」相手に使用でき、統合全ドメイン環境で機能し、GPAW同士が自律的に共同することも想定されている

米空軍はBAAで具体的な運用開始希望時期について触れていないが、大小を問わず関連技術保有企業から1年以内の回答を期待している
F-15E-Afgan.jpg●GPAWプロジェクトは3つのフェーズで進められる
Phase 1:→コストと新兵器のサイズのトレードオフなどを考慮し、どの程度の範囲の兵器が実現可能かを設定する。そしてopen architecture基準を設定し、各構成品の業務分担やコスト構造を設定する
Phase II:→上記の制約の範囲でベストなデザインを案出し、関連技術や迅速なプロトタイプ計画をまとめる
Phase III→兵器製造の競争入札を行う。複数の製造担当企業を選定し、製造単位ごとに競争環境が生まれるような方向を検討する
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陸海兵隊が対中国を念頭に、高価な長射程精密誘導兵器(スタンドオフ兵器)に力点を移す方向にある中、4-6万もある敵攻撃目標を精密誘導兵器で攻撃していては米軍が破産してしまうことから、米空軍はスタンドイン兵器の重要性を訴え、陸海海兵隊に戦い全体のニーズもよく考えるべきだと訴えてきましたが、国防長官も陸海兵隊の流れを認めているようにも見えます

F-22Hawaii2.jpgそんな中、米空軍は中国の強固な防空網を突破する可能性のあるステルス機のF-35やB-21爆撃機に、この安価で小型で破壊力もあるスタンドイン兵器のGPAW導入を構想し、F-35やB-21を米軍の戦いの中核に据え、予算を確保しようとの考えとも言えます

もちろん米空軍は、シュミレーションやウォーゲームを繰り返し行った結果として陸海海兵隊の極端な長射程兵器偏重をけん制し、前空軍参謀総長は陸海兵隊に対し、長射程兵器重視で勝利に導けるとの証拠を示せとまで訴えていましたし、正しい主張だと思います

遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「米空軍の課題:他軍種はABMSに懐疑的」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-12
「スタンドオフとインのバランスが重要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
米陸軍の長射程兵器導入など
「米陸軍は長射程兵器で2023年から変わる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-09
「射程1000nmの砲開発の第一関門間近」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-15
「射程1000nmの砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
海兵隊も長距離砲導入へ
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「中国対処に海兵隊が戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

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