米国が危機の中:ロシアがリビアにMig-29展開

ウクライナやシリアへの支援と同じパターン
ロシア軍事会社Wagner Groupを支援し反政府活動
NATOに南から脅威を与える拠点化か!?

Stephen Townsend.jpg25日、米アフリカ軍のStephen Townsend司令官が会見し、リビア政府(Government of National Accord)から訴えがあったロシア軍Mig-29戦闘爆撃機のリビア反政府グループ(Libyan National Army)勢力地域への展開を確認したと明らかにし、リビア反政府グループが18日の週に予言した「新たな航空作戦開始」に投入されるだろうと述べました

リビアは政府軍と反政府武装勢力による内戦状態にあり、首都トリポリ侵攻を狙うエジプトやUAEが支援する反政府軍を、西側やトルコが支援する政府軍が何度か撃退して何とか持ちこたえてきましたが、ここに新たな航空戦力をロシアが投入して反政府軍を支援し、直接的にはロシア軍の分身として活動するロシア民間軍事会社「Wagner Group」の作戦を応援させるようです

Wagner Group.jpgこのロシア傭兵組織「Wagner Group」のオーナーは新興財閥トップのYevgeny Prigozhinで、プーチンと親密な関係を持つ人物であり、ロシアによるウクライナへの浸潤やシリアのアサド政権支援勢力としての活動していますが、米国内でもSNSを通じた2016年米国大統領選挙への関与や、現在も続く米軍兵士や家族・OBへの執拗なフェイクニュース配信や誹謗中傷ツイートなどにも関与しているようです

米国がコロナで厳しい時、隙に付け込むのがロシアと中国のお家芸ですので、その狡猾ぶりをご紹介しておきます。衛星写真では、少なくとも6機のMig-29がリビア東部の飛行場で確認されているようで

26日付Military.com記事によれば
25日、Stephen Townsend米アフリカ軍司令官は、「ロシアは長くリビア国内紛争への関与を完全に否定してきたが、ロシアが支援する反政府勢力への提供戦力を拡大したことは明らかで、反論の余地はない」、「我々はロシア軍Mig-29がリビアに飛来するのを、その過程も含め全て監視していた」と語った
Mig-29.jpgそして同Mig-29戦闘爆撃機が、当初シリア内のロシア軍展開基地に移動し、そこでロシア空軍の塗装から国籍識別表記などを消し、カモフラージュ塗装に塗りなおされた過程もフォローしていたと明らかにした

Townsend司令官は以前イラク及びシリアでの多国籍部隊司令官を務めていた人物であるが、「私がシリアで見てきたのと同様に、ロシア政府が支援する傭兵組織Wagner Groupを手先として、ロシアはアフリカ大陸への勢力拡大を図っている」、「Mig-29はロシア人傭兵パイロットを乗せ、Wagner Groupの攻勢を支援する対地支援や政府軍攻撃を行うだろう」と説明した
米アフリカ軍幹部は「ロシアはWagner Groupを隠れ蓑にしてアフリカ中部でも活動を活発化しており、プーチンの指示のもと、サブサハラ地域での影響力拡大を図っている」と語っている

Harrigian.jpg米アフリカ軍空軍司令官のJeff Harrigian大将は、長期的なロシアの狙いは、リビアに恒久的なロシア軍の根拠基地を設け、NATOに南から脅威を与えることだとも説明した
そして同空軍大将は、「仮にリビアに基盤を確立できたなら、次にロシアは広範囲をカバーするA2ADエリアを構築するための戦力をリビアに展開させるだろう」、「そうなったらNATO南部諸国にとって極めて大きな脅威と(なり、NATOに2正面作戦を強いることに)なる」と危機感を示した
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Wagner Group2.jpgロシア民間軍事会社「Wagner Group」は、プーチンの指示を実行に移す実質のロシア軍で、ロシアの「hybrid warfare」を担い、不正規戦を展開する「little green men」そのものと考えられています

米国がコロナで苦しい状態にあるとき、アジア太平洋重視で米アフリカ軍の削減を検討している今、彼らは嬉々として活動するのでしょうし、その「魔の手」はSNS等を通じて日本にも及んでいるのでしょう

中国もこのチャンスを逃してはいません
China.jpg26日付Defense-News記事が、コロナの影響を受けインドネシアとタイが国防費の7-8%削減を決定し、マレーシア、ベトナム、フィリピンも同様の方向に進まざるを得ない状況に置かれていると報じ、この機に乗じた中国がコロナ対策支援で資金提供を申し出るなどで地域への浸潤を加速させていると紹介しています。

また当然のように東シナ海や南シナ海での横暴なふるまいは加速し、尖閣での領海侵入常態化、ベトナムの漁船撃沈事案やマレーシアの海底開発妨害など、枚挙にいとまがない状況です

ロシアのアフリカ進出関連
「ロシアTU-160爆撃機が南アフリカ展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-22
「特殊作戦軍が中露と対峙する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-19
「米アフリカ軍削減の動き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14

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