国防長官と米軍人トップ:アフリカ派遣兵力を削減したい

世界的な米軍再編(COCOM-by-COCOM review)へ
そして米本土防衛や南米やアジア太平洋対処を強化
アフリカではフランスに期待を

Milley2.jpg13日付Military.comは、NATO加盟国との協議のためブラッセルを訪問したMilley統合参謀本部議長が、「何も決まっていない」と慎重な姿勢を示しつつもアフリカにローテーション派遣されISRや空中給油や教育訓練等々のために派遣されている約1万人の米軍兵士を、「削減して資源を米本土やアジア太平洋にシフトすることも考えられる」と述べたと報じています

具体的にどのような場面で誰に語ったのかハッキリしませんが、少なくとも様々な情勢を受け、国防長官から限られた資源配分・兵力配分のオプションを検討するように指示を受けているようなことを臭わせる表現もあり、中東情勢も絡んで、色々と考えさせられる発言です

同記事によれば、Milley大将の発言のタイミングで、フランスのマクロン大統領がアフリカのサヘル地域(サハラ砂漠の南縁の草原地帯)の国々(Burkina Faso, Chad, Niger, Mali and Mauritania)の首脳を集め、イスラム過激派対処を協議する場を設定しており、色々な憶測を呼んでいるようです

13日付Military.com記事によれば
Sahel.jpg●Milley統合参謀本部議長は、アフリカに派遣している米軍プレゼンスを「削減して再配分し、米本土の戦力の即応性向上や、アジア太平洋にシフトすることもあり得る」と、NATO首脳との協議のために訪問したブラッセルで述べた
●折しも同時期に、フランスではマクロン大統領が、イスラム過激派への対処を話し追うため、アフリカ・サヘル地域のBurkina Faso, Chad, Niger, Mali and Mauritania首脳を集めて協議を行うことになっている

●またMilley統参議長の発言は、トランプ大統領が6日の週にNATO諸国に対し、中東にもっと関与せよと要求した発言とタイミングが時系列的につながっている
●ただし同議長は同時に、「私の上司であるエスパー国防長官は、何を変えるかについて何の意思決定もしていない」と述べ、「我々は国防長官にいくつかのオプションを準備しているのだ。同盟国等と協議しつつ、選択肢を検討しているのだ」と慎重な表現も用いた

アフリカではイスラム過激派の活動が活発化しているが、昨年12月には、過激派対処を支援するフランス軍のヘリがアフリカのマリで衝突して仏軍兵士13名が死亡する事故が発生し、地元で仏軍反対デモが発生する事態となっており、マクロン大統領はサヘル地域の指導者に、約4500名の仏軍派遣プレゼンスを支持する姿勢を再表明するよう求めている状況にある
Milley3.jpg米国は、約7000名の特殊部隊員をローテーション派遣でアフリカに派遣し、各国の軍と協力し、イスラム過激派対処を支援している。また別に約2000名の米軍兵士が、アフリカ約40カ国で教育訓練や、仏軍によるマリでの作戦「Operation Barkhane」での兵たん支援に代表される支援を行っている

●ただ、米国はこのようなアフリカでの米軍プレゼンスを今後2-3年で削減し、中国やロシア対処に振り向けたいと考えている
●Milley統参議長は何も決定されていないし、アフリカからの完全な撤退を考えているわけではない強調しているが、例えば一つの削減オプションとして、ナイジェリア北部のAgadezにある無人偵察機基地の閉鎖が検討されているようである。ちなみに同基地維持には100億円が投入されてきたようである

Sahel2.jpgフランス大統領府関係筋は米国のこのような動きをけん制し、米国のサヘル地域への貢献は代替が効かないものだと述べ、特に偵察情報と空中給油についてその重要性を強調し、「他のパートナー国からは得られない貢献であり、情報は特に重要だ。この懸念を米国の各レベルに強調しシェアしている」と訴えた

●別件であるが、今回のNATO各国軍事指導者会合では、イラクにおけるイラク軍育成訓練任務の将来について議論が行われる。これは、イラク議会が5日に、外国軍の国外退去を求める決議を行い、トランプを怒らせ、イラクでの有志連合による努力に疑問を想起させる事態となっている事を受けてのものである
●この件に関してもMilley統参議長は、「何も保証することはできないし、何も決定していない。言えるのは、私が受けている指示は現時点で、イラクに止まるということだ」と述べるにとどめた
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23日にエスパー国防長官が本件を記者団から問われ、「地域コマンド間の兵力再編(COCOM-by-COCOM review of U.S. force posture)を計画している」、「次年度予算期間となる10月1日までにはレビューを完了したい」述べました

Esper.jpgアジア太平洋に戦力を振り向けたいとの思いは有難いのですが世界のつながりや連関が強まる中で、どのような影響が出るのか悪い影響が出ないか心配です・・・

エスパー長官もMilley統参議長も大変だと思います。また、米軍兵士の皆さんの武運長久を祈るばかりです

中東やアフリカ関連の記事
「米国がレポート「イランの軍事力」発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22
「特殊作戦軍が中露と対峙する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-19
「B2がリビアで対ISIS攻撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-02

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