「zero unprofessional incidents」だそうです
両軍の対話のおかげとNATO司令官は説明も・・
10日、米欧州司令官を兼務するNATO司令官のTod Wolters空軍大将が記者団との朝食会で、ロシア軍機による西側軍用機や艦艇に対する「危険な嫌がらせ行為:ハラスメントやunprofessional incidents」が最近90日間発生していないと語り、ロシア軍参謀総長と7月に行った会談が転換点になったと説明しています
NATOの過去のプレス発表を見直してみると、両者の会談は7月にアゼルバイジャンのバクーで行われており、その会談以降、ロシア軍作戦機による西側航空機や艦艇への危険な接近飛行が発生していないようです
米欧州司令官を兼務するNATO司令官と、ロシア軍参謀総長が会談しただけで、ロシア軍の動きが変わったとは素直に信じられず、ロシア軍の行動の変化の裏には別の理由があるように思いますが、その辺りは読者も皆様のご想像に任せ、とりあえず状況をご紹介しておきます
11日付Military.com記事によれば
●10日、軍事記者団との朝食会でWolters空軍大将は、過去90日間、ロシア軍機による西側軍用機や艦艇に対する危険な接近飛行がないが、これは7月にValery Gerasimovロシア軍参謀総長と本問題について議論したからだと説明した
●Wolters司令官は、5月に前任のCurtis M. Scaparrotti米陸軍大将から任務を引き継ぎ、ロシア軍参謀総長との会談を7月に初めて行ったが、その際の主要な話題はロシア軍機による危険な接近飛行だったと会談を振り返った
●同司令官は「ロシア参謀総長も懸念していたし、私にとっても大きな懸念事項だった」と7月の会談を振り返り、会談の結果「unprofessionalな行為を海上と空中でゼロにする」ことになったと述べた
●そして結果として「衝突防止が改善された。抑止が改善したし、衝突回避につながった」とも表現した
●両軍のトップ会談前の6月時点でもWolters司令官は、過去にNATO軍機や艦艇にロシア軍機が接近する事例は千の単位であっただろうが、そのほとんどはルーティーン化した問題を感じない行動であり、「不安全でunprofessional incidents」は減少しつつあると語り、
●「99%の接近飛行は安全な要撃行動だ」、「過去の事案に関与したロシア軍操縦者の経験レベルから分析してみると、不安全なケースの大部分は、若い操縦者が突発的にあるべき範囲を逸脱したものと考えられる」と表現していた
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ロシア軍機による危険な接近飛行は、バルト海や黒海周辺を偵察飛行する米軍偵察機や、同海域に展開している艦艇に対し行われていましたが、多くのケースで米軍やNATO側から映像がすぐさま公開され、SNS上でも拡散されているので、Valery Gerasimovロシア軍参謀総長は大昔から認識していたはずです
そして、その行為が「血気盛んな若手ロシア軍パイロット」によることも、ロシア軍は十分把握していたともいますが、7月頃に何か変化を導くような「戦略環境の変化」があったでしょうか?
唯一思いついたのが、12月初旬のNATO首脳会議は「大荒れ」「仲間割れ」が予想されたことから、NATO内の結束を固めるのに貢献しそうな「ロシア軍の危険飛行」は控えておこう・・・とロシア軍が考えたとの推測です
また、英国のEU離脱問題で総選挙もあり、欧州全体が「不安定化」するチャンスに、ロシア軍機が西側を刺激して、欧州やNATOの結束を固める手助けをしてはならない・・・との判断が働いた可能性もあるでしょう
忘年会とか、年末だからとか、個人的な理由をこじつけて飲みすぎの頭には、他にピンとくるものがありません・・・
欧州での米軍とロシア軍対峙
「B-52への接近飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-10-2
「黒海NATO演習と露軍反応」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-03
「露軍は鉄の壁arc of steelを構築中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-07
「北欧でも米軍が訓練強化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-02-29