中国の課題を「国内の経済と金融、それに政治的なもの」と分析
11月29日、台湾の蔡英文総統がNYT紙主催のイベントにリモート参加し、参加者からの「中国の台湾侵攻可能性についてどう考えられるか」と問われ、「現在、中国の指導部は内部の課題への対応に追われている。大規模な台湾侵攻を考える時ではないだろう」と述べました
イベント参加者の質問に対し蔡英文総統はまず、「(中国による台湾侵攻の)可能性に関するタイムスケジュールを、議論したり話題にしたがる人が多いことは知っているが、習氏は、最近のバイデン大統領との会談で答えを出している」と表現し、11月15日にバイデン・習近平会談で「2027年や2035年に中国が軍事作戦を行う計画はない」と習氏が発言したとされている事を示唆しました
そして蔡英文総統は中国情勢について、「現在、中国の指導部は内部の課題への対応に追われている。大規模な台湾侵攻を考える時ではないだろう」と述べ、中国の指導部が直面している課題として「主に国内の経済と金融、それに政治的なものだ」と指摘ました。
この発言を聞いて、2022年2月のロシア侵略直前にウクライナのゼレンスキー大統領が「ロシアによるウクライナ侵攻可能性は低い」と発言していたことを持ち出し、有事や有事への備えに関する蔡英文総統の考えの甘さを指摘する人もいるでしょうが、蔡英文総統がその程度の指導者だとはまんぐーすは思いません
中国との軍事力の圧倒的な差、中国からの絶え間ないサイバー攻撃や情報戦、中国海空戦力による示威活動のエスカレート傾向等々を十分に把握しつつ、限界がある中で可能な範囲の有事体制強化を水面下で全力で進めつつ、一方で「中国による台湾侵攻の恐れ」による外国資本の台湾から国外への流出や外国から台湾への投資の減少を抑えるため、あえて誤解を恐れず正直に、現時点までに収集した情報から自然と導かれる情勢判断を披露したものと考えます
繰り返しになりますが、可能性が低下しつつある有事に備えた準備は淡々と進めつつ、一方で台湾経済維持の重要性を踏まえ、国家指導者として必要だと考える客観的な情報に基づく情勢認識を披露したものだと考えます
米国は、米国内のインフレ抑制だけでなく、中国通貨の暴落を狙った「利上げ状態維持」政策を継続しており、中国への貿易規制などと併せて、超党派の態勢で「中国潰し」に全力投球しており、ある意味で中国に「戦わずして勝つ(軍事的な戦いに至る前に、経済的に破綻させる)」ことに光明を見出しつつあると思います
「中国の不動産バブル崩壊」は「中国金融制度崩壊」を導きつつあり、中国経済や中国の国家としての形が今後どのような道をたどるのか、その影響が世界にどう及ぶのか不安で仕方ありませんが、軍事的脅威だけを声高に叫んでいては、片手落ちだと思う今日この頃です
大変残念な防衛研究所の『中国安全保障レポート2024』
「中国経済崩壊に言及ゼロの」→https://holylandtokyo.com/2023/11/28/5299/
台湾総統「中国は大規模な台湾侵攻を考える状態にはない」
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