中国が米軍需産業を標的にレアアース禁輸へ

人民日報「Don’t say we didn’t warn you」
警告してあげたことは忘れないでね
この言葉、1979年以来初、史上4回目の使用とか・・
rare earth5.jpg3日付Defense-Newsが、米中貿易摩擦への中国側からの報復措置として一般社会への影響が少ない点でメディア上のインパクトは少ないが、米政権に短刀を突き付けるような効果がある「米軍需産業へのレアアース輸出規制」が持ち出されていると報じています
話の発端は、中国の経済計画を審議するNDRC(National Development and Reform Commission)が、6月17日に行った「米国の軍需産業は中国からのレアアース輸出制限を受けるだろう」との発表で、その数週間前に「レアアース輸出制限」を米国への報復措置として検討しているとの中国メディア報道が具体的になったとことにあります
記事は、様々な対策により直接的な影響はそれほど大きくないような雰囲気で書かれていますが、地球上での採掘量と産地に偏りがある元素17種類を指す「レアアース:希土類」の、リサイクル利用の活性化など同盟国を巻き込んだ取り組みの必要を訴えています
3日付Defense-News記事によれば
rare earth.jpg●もう何年も前から、米国材料サプライチェーンの専門家は、米軍やその同盟国を支える重要な兵器(第5世代戦闘機や精密誘導兵器)に不可欠な希少材料へのアクセスが絶たれる懸念について警告してきた。そして、例え僅かでも入荷量が減少すれば製品価格が急騰し、入荷制限が長引けば、国家安全保障を根本で支えるシステム製造企業を脅かすと主張してきた
だが、多くの人は自由貿易に相互依存するこの世界で、そのような過激な手段に中国が出るとは考えなかった。しかし6月17日の中国当局の発表は、中国が如何に巧妙に米側の緊要な部分に牙を突きつけ、貿易戦争を戦おうとしているかを示すものだ
中国側の戦略は冷徹な計算に基づいている。米国の軍需産業だけを標的にすることで米軍装備のコストを引き上げ、製造リードタイムが伸びることは、米国政府中枢に影響を与えるが、一般民衆には大きな影響えず反発を招かないとの目算である
クラウゼビッツを学んだものなら誰でも、これが米国の「重心」を突く攻撃だと理解できるだろう
rare earth4.jpg●報道によれば、中国NDRC当局はレアアース措置に関し3回会議を開き、これは習近平主席がレアアース採掘場を視察し、中国メディアが冒頭紹介した「Don’t say we didn’t warn you」との言葉を30年ぶりに発した数週間後に行われている。これらすべては偶然に重なったわけではない
●幸いにも、米国政府はレアアースや他の緊要な材料物質の安定確保に向けた対策を進めており、7月4日発表の「Federal Strategy to Ensure Secure and Reliable Supplies of Critical Minerals」もその点に触れ、2019年度の国家授権法でも、米軍需産業が中国など非同盟国からのレアアースに依存することを制限しており、
国防省も軍需産業にサプライチェーンの再構築とレアアース再利用の能力を確認しているところである。またレアアース改修と再利用の検討の予算増額を議会に働きかけている
●また議会では、外国資源への依存を減らすため、米国内でのレアアース等の採掘を制限していた法律の改正しようとする議員たちの動きがみられる
rare earth3.jpg中国は数十年にわたる努力で、レアアースを戦略物資として各国のサプライチェーンに供給するルートを固め、米国軍需産業もその中に組み込まれている
●中国NDRCの6月17日の発表は、最後の手段だと考えるべきではない。米国は現状を良く分析し、長期的視点で議会と協力して戦略や政策文書に示された課題や対策を具体化していかなければならない
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本当に米国政府として安心していられる状況なのか、記事を読みながら不安になってきましたが、そこは見守るしかないのでしょう・・・
日本の商社が、簡単に横流しできるものではないでしょうし・・・。 米国内で採掘を可能にするためと解釈した「Mine-permitting reform」ですが、環境団体とかがうるさいのでしょうか?
いずれにしても、レアアースは「レア」なので、目が離せない展開になってきました・・・
米中関係を考える記事
「CSBA対中国戦略レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「2019年アジア安全保障会議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1
「2019年中国の軍事力レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-06
「グーグルからAI技術流出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1

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