国防産業幹部(退役米空軍中将)の宣伝講演ですが
頭の整理のために
11日、米空軍協会ミッチェル研究所で講演した、元ミサイル防衛庁長官でエネルギー兵器で頑張る「Booz Allen Hamilton」のTrey Obering副社長が、米国ミサイル防衛には「大きな革新」が必要だと訴えました。
米本土のミサイル防衛の必要性をそれほど重視せず、「技術的に可能な最低限」しかやってこなかった現状を見直し、脅威を見据えて「意志を持って資源を投入すべき」とし、「多方面からのアプローチ:multi-pronged approach」が革新の基礎となると語りました
現状で「意志と資源」が揃うかは別として、いくつかの課題を紹介していますので、頭の整理のためご紹介します
11日Obering副社長は講演で
●まず、宇宙に多層的な飛来ミサイル追尾衛星システムを構築すべきだ。現状では宇宙配備のセンサーは、敵ミサイルの発射を探知する早期警戒の機能しかないが、飛来するミサイル対処には不十分だ
●またより複雑化するミサイル脅威や多弾頭化に対応するため、宇宙配備のセンサーで、どれが弾頭で、どれがデコイであるかを見極めることにつながるような能力も必要になる。まずは宇宙配備センサーに追尾機能を持たせることから始めるべき
●次に、多弾頭やデコイが混在する極めて複雑化する脅威においても、弾頭を要撃する能力開発に注力すべきだ。米国はこの様な複雑な環境に対応する能力を現在保有していない。
●ただ、米国は100%は難しくても、弾頭とデコイ等を見分ける能力獲得は可能だ。そしてこの識別能力は複数弾頭の確実な破壊に必要で、ゆえに「multi-kill vehicle」が重要で開発に取り組んでいるのだ
●また、米国はならず者国家と大国からのミサイル脅威の両方に対処すべく、「overwhelming strategic response」能力を確実に保有することが必要である。そのための鍵は「boost phase intercept」能力である
●更に、ミサイル防衛システムの「サイバー戦耐性」もカギとなる。BMDシステムは陸海空だけでなく宇宙やサイバードメインでも強固でなくてはならない。サイバー戦への備えが当初から組み込まれ設計されることが必須である
●最近様々な情報が明らかになっている超超音速兵器への対応も忘れてはならない。超超音速兵器を探知、追尾、そして破砕する能力の必要性も忘れてはならない
●これらの能力獲得が可能なのか? 意志をもって資源が投入されれば可能である。ただし単一の装備で可能なわけではない。融合されたシステムが必要である
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だから、わが社のエネルギー兵器や「kill capability開発」が重要なのだ・・・と話がつながっていくのかもしれませんが、今やミサイル防衛はこれほど困難だということです。
日本の脅威は主にICBMではなく、中距離や短距離の弾道ミサイルや超超音速兵器でしょうが、それでもますます困難になっているということです
ロシアが戦勝記念日に超超音速兵器をお披露目したとのニュースが駆け巡っていますが、ややこしい時代になりました
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