米国防省次官がF-35維持経費負担不能と

調達兵站担当次官
「現状のままではF-35の維持経費を払い続けることは不可能」
Lord.jpg1月31日、米国防省の調達兵站担当次官であるEllen Lord女史が記者団に、現状ではF-35の維持経費を米国防省は捻出できなくなることから、専門家やデータ分析技術を動員してF-35計画室とともに、維持コストダウンに取り組み始めたと語りました。
F-35の維持経費については1月18日にも、次の米空軍調達担当次官であるWill Roper氏が議会で証言し、最も大きな懸念事項であり、同次官ポストに就任したらまず一番に精査して必要があれば対処すると語っていたところです
また昨年10月の米会計検査院GAO報告書でも計画よりはるかに長期間必要な部品修理、修理に必要な部品不足、F-35兵站支援システム開発の遅れ等々が厳しく指摘され、予算獲得と海外売り込みのために厚化粧した「亡国のF-35」の実態は、隠しようもない状況であることが表面化しています
1日付Defense-News記事によれば
F-35 Paris.jpg●Ellen Lord次官は記者団に、F-35戦闘機の維持経費に対し、新たな業務データ分析を試験導入し、ビックデータ分析を含む客観的手法の導入を図ると語った
●そして「現状のままではF-35の維持経費を払い続けることは不可能。我々はこれを変えなければならない」と語り、この「most significant」で「awesome aircraft」を生かす努力の重要性を語った
●また遅れている開発と最終試験スケジュールに関しては、「急激に変化する脅威に対応すべく、2025年までにすべての開発計画を完了しなければならない」と決意を述べた
既に米軍内だけで250機のF-35が部隊配備されているが、維持整備に関し米国防省は数々の困難に直面しており、GAOが指摘したように「計画よりはるかに長期間必要な部品修理、修理に必要な部品不足、F-35兵站支援システム開発の遅れ等々」の問題が山積している
●会計検査院GAOの指摘に対しF-35計画室は、GAO報告書のデータは正確だが、データ収集時点からすでに種々の対策を講じており、事態は改善されてると説明している
Lord2.jpg●しかしLord次官は、6名からなる調達専門家チームを編成し、F-35計画室と緊密に連携させ、原点に立ち返って計画を分解し、如何に維持を行うか、如何にコストダウンするかを検討させていると語っている
●同次官は「F-35計画は極めて複雑で、多くの海外顧客も関係しているが、だからこそ計画全体を知る専門家が新鮮な目で見てチェックし疑問を投げかけることが、全体の利益につながるのだ」と語っている
●また「我々はデータ重視で進めたいと考えている。概念やコンセプトばかりでは地に足の着いたアプローチはできず、率直に言って時間の浪費になる。F-35に関するすべてを俎上に載せ、データに裏付けられた分析で、よりシャープな目で臨みたいと思う」と説明した
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専門家投入やビックデータ分析で維持コスト低減が成功することを祈念いたしますが、NPRで示された核兵器維持近代化、各種通常兵器の更新等々を勘案すれば、2千機以上のF-35を導入することは絶対に不可能で、調達機数削減は不可避です
F-35 GAO.jpg現役次官がここまで率直に語るようになったとは・・・事態の深刻さを表現しています・・・
すると「負のスパイラル」、機数削減→価格上昇→海外の購入機数減少→更なる単価高騰+維持整備経費増大・・・となります。
そして日本のような国は足元を見られ、効果ない維持費を吹っ掛けられ、泣く泣く支払うことになります。日本はF-35Bなど購入している場合ではありません。脆弱で有事に使えない戦闘機への投資を絞るべきです
「次の米空軍調達幹部がF-35を一番の懸念に」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-20-1 
米会計検査院がF-35にたびたび警告
「GAOがF-35維持費に警告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-25
「再度警告:開発と製造の同時並行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-10
「F-35最終試験は1年遅れでも不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-17
「ALISにはバックアップが無い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-01

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