U-2飛行隊長
空軍参謀総長は言った「飛行隊長として即応体制を維持せよ。しかし空軍の回答を待っているようでは任務成功はおぼつかない」
8日付Defense-Newsは、1950年代から前線で偵察活動を続け、今も最前線で活躍中のU-2偵察機部隊の取材記事を掲載し、飛行隊(編成単位部隊)の活性化を重点政策に掲げるGoldfein空軍参謀総長の意図を具現化するように、飛行隊がシリコンバレーと直接交渉しながら現場の要求に合う装備を低コストで導入している様子を紹介しています
どうやら空軍参謀長が視察した際に、飛行隊活性化策を提言して予算の自由度が与えられたような雰囲気ですが、なぜこれが可能なのかは記事からは良くわかりませんでした。
米空軍全体で、審査を経てこのように小規模なプロジェクトに予算と自由度を与える機会が与えられているのか、そのあたりの細部が不明なのですが、いつ引退を命ぜられて不思議でない、士気が低下しそうな部隊でありながら、生き生きと部隊が活動する様子が伺えますのでご紹介します
8日付Defense-News記事によれば
●未だに与圧服を着て搭乗しなければならないU-2偵察機だが、同飛行隊の作戦計画士官はまもなく、シリコンバレー企業と直接対話して実現した商用ベース技術を用いて実現した、作戦用データを融合する最新のコンピュータやタブレットを手にする
●ペンタゴンからの指図をほとんど受けず、同飛行隊が調達するシステムは、関連の装備や開発を含め約3.6億円である
●U-2を運用する第99偵察飛行隊の隊長であるMatt Nussbaum中佐は、空軍参謀総長が部隊視察の際に同中佐に対し、「飛行隊長として即応体制を維持せよ。しかし空軍の回答を待っているようでは任務成功はおぼつかない」と語ったことを振り返った
●また同隊長は「私は空軍参謀本部勤務から飛行隊長になり、予算獲得や契約の流れを前任地で見てきたが、重要なことは現場の優れたアイディアをどうすればよいかである」とも語った
●同隊長は特別な権限を与えられているわけではないと語ったが、飛行隊のメンバーは誰もが、重要な要因として、リーダーシップが一般兵士にチャンスをつかむ自由を与えてくれている(leadership give those at the lower levels the freedom to take chances.)と語ってくれた
●11月30日に空軍参謀総長が来訪した際には、同飛行隊がシステム導入の基礎と考える「atomic leadership model」を説明し、参謀総長は空軍全体に適応するプランを考えてほしいと応えた
●飛行隊長は彼らが自ら企業等と交渉して導入した装備の一つであるタブレットを見せてくれた。このタブレットは、パイロットが空中で秘密でない情報を入手するものだと説明してくれた。
●そして、操縦席は秘密作戦情報をやり取りする装備で埋め尽くされているが、そうでない情報のやり取りする装備はなく、公式に要求するには大変な労力が必要だと語った。基本ソフトは無料で入手し、「Apple’s app development courseware」に投資して好きなようにカスタマイズしていると言う。
●また旅客機パイロットが良く使用している「Garmin D2腕時計」を、U-2操縦者が入手して喜んでいるのは不思議な光景だった。
●飛行隊長は次のステップとして、この腕時計が収集した飛行ルート等のデータを軍用フォーマットに変換し、自動ダウンロードして飛行隊で事務作業に活用できるよう契約準備を進めていると語ってくれた
●このような装備調達手法の利点は、兵士が予算を有効に活用しようと意識することである。一般に高いと感じたら、普通の人間は購入を躊躇する。しかし官僚的な組織ではこの意識が働かなくなることがある
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色々疑問が残る記事紹介となりましたが、数億円を部隊に任せて必要なものを装備させる自由を与えられているようです。
その手続きの流れやここまでの経緯は不明ですが、前線部隊には色々な費用対効果の高いアイディアが埋まっていると言うことでしょう。
飛行隊(編成単位部隊)の活性化を進める米空軍を「よいしょ」する記事かもしれませんが、組織上層部の裁量で、部隊活性化が成功した事例ともいえましょう
空軍参謀総長の重視事項
「3つの重視事項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13
U-2偵察機の記事
「U-2はRQ-4が共存へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-25
「空軍偵察アセットの現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-21
「最新機よりU-2がいい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23
「在韓米軍トップ:U-2が良い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-26