国防省の予算削減案は来年春

LittleMOD.jpg7日、米国防省の報道官George Little氏は、国防省が実施している自称「comprehensive strategic review」の完成は来年になるとの見通しを明らかにした模様です。7日付「DODBuzz」が報じました。
本サイトでもたびたびご紹介してきましたが、4月13日にオバマ大統領が政府支出抑制の宣言を行い、安全保障経費も2013年までの間に約35兆円削減すると宣言しました。その時点でゲーツ長官が先行的に自主的に行っていた約35兆円削減とは別枠の35兆円削減です。
これに対し国防省は、ゲーツ前長官やパネッタ長官を先頭に「政府の方針には従うが、キチンと戦略的にどの部分を削るかを議論して整理し、リスクを明確にして議会や大統領に提示して判断を仰ぎたい。過去にあった全分野一律カットは空虚な軍を生み出す、最も避けるべき選択枝」と訴え、自称「comprehensive strategic review」に取り組んできました。
この見直しについては、当初は9月末に公表、その後10月には取りまとめたいになり、9月7日には来年まで掛かる・・・・との言いぶりになりました。
7日付DODBuzzはこの件について・・・
●リトル報道官が報道関係者に述べたところによると、戦略見直しレポートは2013年度予算案と共に提出される見込みで、来年2月頃になる模様である。
●同報道官は国防省の立場をあらためて述べ、国防省は既に応分の負担以上を受け入れて十分予算削減に貢献しており、それ自体も吸収することが大変困難な状況にあると訴えた。
littlekirby.jpg●オバマ大統領が春に宣言した35兆円削減案に対する対応案は一応出来ているようだが、11月23日に期限が来る政府の「super committee」による国家全体の予算削減計画がまとまるかどうかを見極め、その後の対応を全般情勢を見つつ判断しようとの考えであろう。
●議会で国防省を支援してくれている議員も、現時点での「見直し」状況を十分には知らされていないようだ。彼ら議員は、予算削減によるリスクをもっと訴えたいかも知れないが、削減幅が曖昧なこの段階で手の内を見せることが得策でないことも理解しているようだ。
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つい先日、10月に国防省の検討結果が提出されるとご紹介したばかりですが、舌の根も乾かぬうちに・・・。
大統領選に向けての駆け引きもあり、「木の葉のようにゆれる」米国防省予算です。
それにしても、George Little新報道官はなかなか好青年ですね!
「陸軍は10個旅団削減案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-02
「35兆円削減の影響分析は9月末」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-28
「政治家よ目をそらすな議論を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「4段階で経費削減に臨む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-20

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