昨日は「更なる削減案で激論」とのタイトルで、米空軍予算の削減を巡る議論の様子をお伝えしました。
「更なる削減案を激論:米空軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-25
本日は、Air Force Magazine「Daily Report」及び及び軍事情報サイト「Defense Tech」が、共に25日付で報じる空軍爆撃機の後継議論についてご紹介します。
空軍爆撃機の検討は、ゲーツ長官が2008年に一端中断して根本的に見直すべきと指示し、仕切直しになりましたが、QDRやJoint Air-Sea Battle Concept検討の中で「ISRと攻撃の一体化」のようなイメージが発信されつつあり、また種々のウェポンシステムの組み合わせで目的達成を狙う方向性が示唆されています。
また空軍参謀総長が、技術的には既存の実用性が確かなモノを中心に・・・と開発リスクや費用を抑えたい意向もほのめかしていたところです。
そんな中・・・
24日、ブリードラブ米空軍作戦計画部長(Lt. Gen. Philip Breedlove, deputy chief of staff for operations, plans, and requirements)が空軍協会主催の朝食会で本件について語っています。
●次世代爆撃機との言葉は死語である。もう次期爆撃機とは呼ばない
●今検討されているのは、ステルス機ではあるが、次期爆撃機のイメージより小型で、濃密なSAMベルト地帯を突破するようなデザインにはなっていない。
●今検討されているのは、より多様なポジションをこなせる選手(utility infielder)である。
●長距離攻撃や突破型プラットフォーム議論の論点の一つは、高コストのプラットフォームと低コストの敵防空網との対峙をどう評価するかである。
●新たな兵器システムに関する議論を明らかにすることも問題になっている。なぜなら相手は公開情報から学び、より強力になるからである。
●歴史上初めて、主要な作戦機の要求が、戦闘コマンドからではなく国防長官室から降りて来ている。
QDRやCSBAレポートで言及されていたことが次第に具体的形となって議論されるようになりました。
本当にここ1~2年の米国国防政策の変化は激しいです。歴史を学ぶことは常識人たる要件ですが、今米国防省や米軍に起こっている変化を理解するのに、戦後の米軍事政策に関する知識は邪魔になるかもしれません。
(写真は、諸悪の根元、ゲーツ長官の悩みの種をまいた前任者ラムズフェルド氏の肖像画除幕式です。何もこの時期にやるか?? 懐が深すぎます)
まずはともかく今の動きをしっかりフォローし、更に中国専門家の意見も参考にしつつ、日本の戦略を練る必要がある・・・と考えます。
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「CSBA中国対処構想」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「嘉手納から有事早々撤退?」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
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