昨年8月19日、米空軍宇宙コマンドの下に、サイバー戦を任務とする第24空軍が編成されました。
この分野は公開情報が少なく、何が、どこまで進んでいるのかが分からなかったのですが、Air Force Magazine9月号に「Building Better Cyberwarriors」との記事が掲載され、断片的ながら人材育成の面での取り組みが描写されていますので、2回に分けてご紹介します。
●第24空軍(Lackland AFB テキサス)の主要な隷下3wingの確認です。
688th Information Operation Wing, Lackland AFB テキサス
689th Combat Communication Wing, Robins AFB ジョージア
67th Network Warfare Wing, Lackland AFB テキサス
●幹部の職能番号設定
パイロットや整備員と同様に、本年4月サイバー戦専門職域に職域番号「17D」を新設定し、3千人を指定
●サイバー職域教育を空軍教育訓練コマンドで本格開始(6月22日~)
サイバーbridge教育
→ サイバーと直接関係のないパイロットや整備員等の職種の人間に、サイバー世界への導入的教育を行い、他職域から多様で有能な人材を吸収する目的
UCT(Undergraduate Cyber Training, Keesler AFB ミシシッピ)
→ 初級コースで10月開始。この課程後、サイバー攻撃、防御、開発(Exploitation)の3分野に分かれてより専門的な分野に向かう。
●キャリアパス整備と人材の融合
今後は人材の配置やキャリアパスを整備し、学位取得やより上級の司令部ポストへの道を整える予定。
また情報分野と通信分野の専門家をこれまでにない方向で融合させ、新たな業務を実施させる。
////////////////////////////
(関連記事)
「米サイバーコマンド道遠し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-16
「米サイバーコマンド準備中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-17
本日はこのあたりまで。明日は人材の確保、サイバー業務の標準化、技術開発、取得調達の迅速化について触れます。
記事のタイトルの下には、「空軍中で人が動き、教育が見直され、サイバー戦士の能力が研ぎ澄まされている」とのリード文が掲載されています。
この分野では、優秀な人材は恐らく「IT産業」や「投資銀行」等の金融界に流れるのでしょうから、中国に対応するのは大変だと思います。
一方で、米軍がIT技術やネットワークに依存する度合いが最も高く、従ってサイバー戦の被害を最も受けるであろうとの強い危機認識も記事には示されています。
コメント