空軍TOPが2012年予算への苦悩を

23日、シュワルツ空軍参謀総長は軍事レポーターとの朝食会に参加し、2012年度予算編成に向けた空軍の課題と取り組みについて説明しています。
本日はその中から、LRS(long-range strike)、F-35及び救難用ヘリコプターについてご紹介します。
空軍爆撃機の後継:LRS(long-range strike)の検討
CSBA LRS3-2.jpg米国防省が行っているA2AD対応の検討は、LRSを単一の兵器でなく、複数の「family of systems」で遂行することを念頭に置いているが、空軍の航空機をどのようなものにするかについては、いまだ2012年度予算への組み込み方が決まっていない
●国防省内にも突破型LRS能力の必要性が日に日に理解されるようになってきた。2012年度予算に明示する形で入ることが空軍の願いである。
●しかし、特定の要求事項については依然検討中であり、最後までどうなるか分からない。ゲーツ長官はコスト見積もりを重視しており、12月19日の締め切りまで詰めが必要だろう
空軍はゲーツ長官へのプレゼンを終了している。最終的にはゲーツ国防長官が決断する。ペンタゴン内や議会に、LRS航空機への強い反対があることも確かである。最終決断まで「カミソリの刃一枚」まで来ていると信じている。
F-35Aと戦闘機体系管理
f351.jpg●依然、F-35のソフトウェア開発の遅れが、部隊配備と運用開始時期の遅れに繋がるのではないかと強く懸念している。なお米空軍は1763機のF-35を調達予定である。
現状ではテスト飛行が予定より先行して進んでおり、その部分では好調であり、「誤りや驚き」は無い。しかし、ソフトウェア開発が2016年の初期運用開始時期に影響を与えるのではないか、またNunn-McCurdy法の規定に抵触するのではないかとも懸念している。
●月曜日(22日)に開催された国防調達審議会(Defense Acquisition Board)で、F-35計画責任者のバンレット海軍中将が計画全体のレビューを報告したと聞いている。最終的な結論には至っていない模様だが、F-16への延命施策の必要性を検討するためにも、F-35の状況について注目している。
http://defensetech.org/2010/11/23/schwartz-concerned-about-f-35a-delays/
救難ヘリと特殊任務ヘリの後継
UH-1N Hueys.jpgHH-60.jpg核施設支援ヘリUH-1N Huey(ICBMサイトの監視等)と救難用ヘリHH-60 Pave Hawkの後継について、どのように対応するかについては2012年予算ではまだ明らかにならない。来年あたりに検討することになろう。
厳しい予算の中では、あらゆるオプションを検討しなければならない。
陸軍用のブラックホーク生産ラインを活用する方法は、機種選定を巡る出費を無くす点で有益な方法であり、我々としてこれを無視することは馬鹿げている。陸軍から90機のUH-60を購入することもオプションの一つである。
●また同時に、大幅な技術進歩を考慮しないとの前提を受け入れない場合にのみ、開発経費を最低限にし、調達速度を速くする手法として有効である。
http://www.dodbuzz.com/2010/11/24/usaf-foolish-not-to-consider-uh-60-buy/
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12月19日が国防省内2012年度予算議論の一つの山ですか・・・。
5年間で約9兆円を捻りだし、より必要な分野に振り向ける方向性についても、このあたりまでにある程度の議論の目処をつけるのでしょうか・・・
ところで・・シュワルツ空軍参謀総長は米空軍史上初めてのユダヤ教徒の参謀総長だそうです。
A2AD対処の柱の一つ・・LRSに関するCSBAレポート
長距離攻撃(LRS)システム構想
「序論:長距離攻撃(LRS)構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-25
「本論1:長距離攻撃(LRS)構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26
「本論2:長距離攻撃(LRS)構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26-1

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