昨日に引き続き、AirForce Magazine3月号の「USAF and the Gulf」(米空軍と湾岸地域)から、オイルマネーで潤う湾岸諸国空軍の状況を地域の米空軍司令官の視点で紹介したい思います。
日本で関心をお持ちの方は少ないでしょうが、最近のアラブ社会はいつ何時何が起こるか分からない状況ですので、とりあえず現況を概観しておきたいと思います。
なお、記事で扱われる対象国はGCC(湾岸諸国協力会議)のメンバーである、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジ、UAEが中心で、その他にヨルダン等も登場します
記事は、米中央軍の空軍作戦司令官ホステージ中将(Lt. Gen. Gilmary Michael Hostage III, Commander US Air Forces Central Command)へのインタビュー中心に構成されています。
本日は「将来への取り組み」、「GCC空軍の近代化」、「米軍の役割」についてです。
将来への取り組み
●これまでGCC諸国間で、NATOのような、共同運用、共同指揮所、戦技教育機関、共同空輸、AWACS運用等の計画が持ち上がったが、いずれも実現していない。
●それでも米国のCAOC(共同航空作戦センター)運用を見てもらうことで、各国がそのような施設を建設するよう働きかけている。
●近未来の目標としては、地域諸国が共同で運用する航空作戦及び弾道ミサイル防衛ネットワークの設立がある。細部の予定は明確に出来ないが、UAEに施設を建設中である。
●各国が空輸に興味を示し始めており、共同の空輸調整機関を設置するかも知れない。
●アラブ諸国は、恵まれない環境下の人たちを助ける事を重視しており、アジアでの津波やハイチ地震の際に十分支援できなかったことを残念に思っている。
GCC空軍の近代化
●2009年にカタールが2機のC-17輸送機を購入し、ハイチとチリ地震の際に救援物資を輸送した。これを見た各国が空輸能力に興味を示し始め、クウェートもC-17を求めている状況にある。
●サウジが最新鋭のF-15を購入し、現有機の近代化も進める計画を持ち、UAEは米空軍保有機より高性能のF-16E/Fを調達し、ラファールの購入も検討している。オマーンとバーレーンはF-16を保有し、クウェートはFA-18を保有している。
●彼らは最近米空軍の無人機運用を見て興味を持ち始めている。同時に無人機の運用には、衛星等の通信インフラや情報処理組織等に膨大な投資が必要な事にも気づいた。そして今では、単に興味を持つ段階から踏み出そうとしている。
●確かに過去には、良く検討せず装備を購入し、購入してから「どう使うのか?」と言い出すこともあった。しかしGCC全体としてみれば、将来、各国が保有する航空戦力は、地域に展開する米空軍戦力を凌駕し、英国や日本と肩を並べるまでになるだろう。
米軍の役割
●当地域にNATOのような枠組みを適さないであろう。米国は彼らを結びつける要素(unifying element drawing them together)として機能するのだろう。米軍のプレゼンスは地域協力の触媒である。
●イラン軍の能力には懐疑的な見方もあるが、最悪のケースに備え、最善を目指すのみである。
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カタールのC-17にはびっくりしました!! この塗装は軍用機のそれではないですね・・・ガルフエアーみたいな・・
クウェートは記事によると1機C-17を購入したいとのこと・・1機では定期的な整備等を考えると恒常的な任務は不可能ですけど・・・
それにしても英国と日本を同格に描写してくれるとは・・・FIFAランキングで日本代表が15位にランクされるのより照れてしまいます。
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