13日、英米両海軍のトップが定期協議をロンドンで行い、協議終了後会見を行っています。ラヘッド米海軍作戦部長の脅威認識披露が13日付「DefenseNews」記事の中心ですが、2019年に英海軍が次の空母を入手できるまで、操縦者や乗員の能力をどう維持するかなど、かつて経験したことのない領域に挑まざるを得ない英海軍の悲哀を感じさせる内容です。
それでもさすがに伝統の海軍同士の協議、18-24ヶ月毎に両国で開催されているようですが、いろいろ盛りだくさんだったようです。
Gary Roughead米海軍作戦部長は・・・
●将来における大きな懸念材料は、弾道ミサイルや巡航ミサイル、更に静粛な潜水艦の普及とサイバー攻撃である。特に弾道及び巡航ミサイルの急激な拡散普及が問題化している。これは非国家対象をも含めた傾向である。
●潜水艦の活動が世界各地で活発になってきており、対潜水艦作戦(ASW:anti-submarine warfare)での協力が極めて重要になってきた。世界最高レベルの対潜水艦作戦能力を持つ英海軍も、我々が対潜哨戒機をP-3からP-8 Poseidon に変更する様子に注目しており、その知見の共有に関心を持っている。
●また両国海軍は、多様な分野、例えば無人システムの開発と有人無人システムの組み合わせに関する協力協定に署名した。
●(先週、空母の建造を公に認めた中国軍に関し)米英の海軍が以前歩んだ道を辿っているようだ。良い関係を持つことを望んでいる。
●両国関係にワックスを掛け磨き上げなければならないが、海賊対処で既に良好な関係も出来ており、同様な関係を東シナ海や南シナ海でも成立させたい。継続して働きかけていく。
Mark Stanhope英海軍トップ(First Sea Lord)は・・
●両国海軍が、共に設計段階に入っている次世代戦略ミサイル原潜の推進システムや搭載兵器システムについて緊密に協力することを再確認した。
●昨年の英国防見直しにより、英海軍はハリアー戦闘機を破棄することに決定したことから、2019年以降就航の空母クイーンエリザベス後継艦に搭載予定のF-35Cまでの間の搭乗員や艦艇クルーの技量維持に取り組まなければならない。大きな挑戦である。
●もしリビアでの事態が半年早く生起していれば、ハリアーや空母アークロイヤル(退役)に関する決断を修正できたかも知れないが、今からではコストが掛かりすぎる。残念だ。
●英海軍が1970年代から経験していない、空母のカタパルト発信と着陸要領を米空母で経験することについての覚え書きを交わした。
●英海軍はまた、仏空母Charles de Gaulleでの訓練も調整を開始している。
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新しい英空母が2019年に再び就航すると信じている人がどれだけいるのでしょうか・・・
英海軍トップとしては、その方向で突き進むほかないのでしょうが・・・「辛きものは宮仕えかな」
英国軍も大改革へ経費縮減策へ
「英軍が戦闘機部隊を無人機部隊へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-23
「ああ・・英国空母競売」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-29-1
「英空軍2020年までに戦闘機半減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「英国も国防省改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16-1
「英軍に学ぶ経費縮減策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-26-1