バイデン政権はオープンスカイズ条約復帰意思なし!?

関係国調整用の外交文書をメディアが入手
昨年11月のトランプ政権による脱退を非難していたが
最近はバイデン政権の方がロシアに強行姿勢

Open Skies.jpg7日付Defense-Newsは、米国務省が3月31日付で作成したオープンスカイズ条約(Treaty of Open Skies)関係国との調整用に作成した外交文書の内容を紹介し、昨年11月のトランプ政権による同条約離脱を批判していたバイデン陣営が、今では同条約への復帰がロシアに誤ったメッセージを送ることになると反対姿勢に転じていると報じました

オープンスカイ条約は非武装の航空機で互いに軍事施設や紛争地域の様子を撮影できることに加盟国が同意する条約で、2002年に発効し、欧州諸国やロシアなど34カ国が加盟しています。米国の離脱を受け、2021年1月にロシアも脱退の意思を示しましたが、2月15日には米国が復帰するならロシアも脱退意思表明を見直すとしていたところです

また、ロシアは欧州加盟国に対し、条約に基づいて得た情報を米国と共有しないことや、欧州にある米軍事施設の上空の査察を制限しないように求めていました

Open Skies2.jpg最近のバイデン政権はロシアに対し、トランプ時代よりも強硬な姿勢を示し始めており、3月の記者からの質問に対しバイデン大統領が、プーチンを「人殺し:killer」と呼んだことが象徴的な事象として、両国の対立関係が伝えられているところです

加えて、4月に入り、米空軍が同条約用に使用していた老朽化が進む2機のOC-135Bを退役させ、「任務がなくなった機体なので、規定に従いアリゾナの砂漠地帯に移送する」と発表したことで、米国務省は「決定ではない」としていますが、事実上、同条約への米国の復帰はなくなったと関係者は見ているようです

7日付Defense-News記事によれば
5日に米国務省は声明で、オープンスカイズ条約に関する最終決定はなされていないと表明しているが、3月31日付の関係国との外交文書(March 31 demarche)は、「ロシアが継続して同条約違反状態にある中で、同条約への復帰意思を示すことは、ロシアに誤ったシグナルを送り、広範な軍備管理案件における米国と立場を損なうと率直に懸念している」と記し
OC-135.jpg更に「ロシアの同条約違反は、INF条約への違反レベルではないが、ロシアが軍備管理の国際的な取り決めの順守や関与を軽視する一連のパターンを示しており、ロシアが協力的に信頼醸成構築に参画する用意があるかについて疑念を生んでいる」と表現している

ただし、同外交文書は完全に米国の復帰可能性を排除してはおらず、「我々はしかし、環境が整えば同条約に米国が復帰することや、他の安全保障上の取り組みに同条約が狙った信頼醸成措置を組み込むやり方があると信じている」とも表現している
5日の声明で米国務省は、将来の同条約への復帰については未決定だとし、「米国は同条約に関連する事項のレビューを精力的に実施中で、同盟国等とも緊密に協議している。その中でロシアによる継続的な条約違反は関心事項である」、「ロシアには条約合意事項を遵守するように働きかけている」としている

OC-135B.jpg3月末の外国文書が明確に条約復帰を否定していないことや、昨年11月にトランプ政権が同条約脱退時にも同条約用航空機OC-135Bを退役させなかったことから、欧州関係国や一部関係者はバイデン政権誕生後の条約への復帰可能性に期待し、2月のNATO会合で米国に復帰を働きかける動きはあったが、米空軍による同機の退役発表で、バイデン政権に復帰意思がないことが明らかになったとの解釈が広がりつつ
米空軍は一時、OC-136Bの後継機としてGulfstreamビジネスジェットの使用を検討したこともあり、代替機の投入による条約復帰の可能性が完全に排除されたわけではないが・・
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Open skies3.jpg軍備管理の議論全体におけるオープンスカイズ条約の位置づけや、その意義については全く語れませんが、脱退した今になって復帰するのは敷居が高いということでしょう

閉鎖的なロシア圏と、SNS等ITツールの拡散でますます可視化が進む西側とでは、この種の条約を公平に運用することが難しいのではないかと思います。条約維持復帰派や欧州条約締結国の気持ちもわかりますが、米側からすれば失うものが多いとの指摘に反論することは難しい気がします

ただ、バイデン大統領の「人殺し」発言はちょっとビックリです。民主党の柱である「人権」や「環境」に縛られ、一部世論やメディアの雰囲気に流されているのでは・・・とちょっと心配になります

オープンスカイズ条約の概要や脱退派と継続派復帰派の主張など
「同条約脱退以降伝達」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-1
「脱退の噂にざわめく」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-10
米空軍の老朽情報収集機がピンチ
「OC-135Bらは後継機無しの方向?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-28-1
「OC-135Bらの維持がピンチ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-08-1
軍備管理関連の記事
「新STARTはとりあえず5年延長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-22-1
「米国:MTCR解釈変更で無人機輸出緩和宣言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-25
米国のINF条約脱退経緯
「トランプが条約離脱発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露は違反ミサイルを排除せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-06
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「第3の超超音速兵器Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21

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