22日、豪のスミス国防相は「豪は、豪と米国と中国の3国による軍事訓練を真剣に考慮している」と述べ、豪への米海兵隊配置を批判している中国との間における「誤解や誤算のリスクを低減するため」だと訓練の必要性を強調しました。22日付「Defense News」より
オバマ大統領が豪北部に2500人規模の海兵隊部隊を常駐させる計画を16日に明らかにした事を受け、東南アジア諸国が中国との摩擦を懸念しているようです。
背景にはインドネシアの懸念が・・
●バリで開催された東アジアサミットで、インドネシアのユドヨノ大統領はギラード豪首相に対し、上記の3ヶ国訓練のような手段で緊張緩和や誤解防止を進めるべきだと勧めた模様
●インドネシアのネタレガワ外相は米海兵隊の配備計画を、当地域での「(中国との関係に)火に油を注ぐようなモノ」で「不信感と緊張の負の連鎖を生むモノ」と警告し、その意図等について透明性を高める必要性を強調
これらを受けスミス豪国防省は・・・
●米豪中の3ヶ国訓練がすぐに実現できるとは考えていないが、インドネシアの提案はよい提案で興味深い。肯定的な示唆であり、長期的に真摯に検討すべきモノである
●豪は昨年初めて中国海軍と実弾射撃訓練を行った。現在も同様の訓練を人民解放軍と行うべく賢明に話し合いを行っている。
●豪は、米国と中国が共にこの訓練に参加することを働きかけていく。
在豪の米国大使Jeffrey Bleich氏は本件について・・・
●種々の要考慮要素はあるが、中国との軍事協力推進にワシントンは興味を持っている。
●大きな観点で、我々は中国軍とより活動を共にしたいと希望しているし、地域の全ての国との協力関係構築を追求している。
●発展を続ける多くの国がお互いをよく知らないと、そこに誤解から来る懸念が生じる。それに備えなければならない
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「Defense News」は、本年米中はアデン湾で海賊対処の共同訓練を行う予定であり、来年人道支援のための捜索救難訓練を計画しているが、米韓が行っているような実弾訓練は過去にもない、と紹介しています。
記事を読み進めていく中で、スミス豪国防相もそんなに簡単ではないことを良く承知、との印象を受けました。インドネシアからの提案を無視するわけにはいかないし・・・と言った程度かも知れません。
インドネシアと米国は、昨年辺りから、過去の経緯に目をつぶって軍同士の関係改善に乗り出したところですが、やはり中国との関係を単純に割り切ることは出来ないのでしょう。
恐らく他のASEAN諸国からも同様の懸念が示されたかも知れません。恐らく日本にも、日米中の演習を・・・との話があったかも知れませんね。
「米豪が新協定締結へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-07
「米海軍は日本から豪へ移動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「米がインドネシアと関係強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-23