地域コマンドにもサイバー戦権限を

米海空軍トップが連名でAir-Sea Battleやるぞ宣言!
「概要海空軍トップのASB論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
上記論文のキーワード
「Networked, Integrated Attack-in-Depth 3D」や海空融合作戦例を解
「抄訳海空軍トップのAS-Battle」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19
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cyberStuxnet.jpgサイバー戦対処の緊急性から、太平洋軍などの地域戦闘コマンドにサイバー戦運用部署を設置する暫定措置を、パネッタ長官が「トップダウン」で試行的に命じたようです。
9日付「Defense-News」が独自に入手したと主張の5月1日付パネッタ長官承認の「覚え書き」は、これまでサイバー戦の運用を一元的に実施してきたサイバーコマンド(CYBERCOM)への資源の集中方針はそのままで、現場に近い地域戦闘コマンドにある程度の権限を委任する方向を追求しているようです。9日付「Defense-News」記事より
サイバー体制変革の「覚え書き」について記事は・・
●地域戦闘コマンドにJoint cyber centers (JCCs)を設置し、地域での前線サイバー作戦運用の責務を持たせる。
●JCCは、CYBERCOMの出張所のようなCyber support elements (CSEs)から専門情報や作戦ノウハウを得ながら、地域コマンド司令官の作戦を遂行する。
CyberPolicy2.jpgJCCが地域戦闘コマンド司令官の命令を受けサイバー作戦(防御と攻撃の両方)を実施し、CSEは直接作戦には関与せず、情報提供や技術的助言を行う
●「覚え書き」でパネッタ長官は、「可及的速やかに行動を起こし、暫定的な体制を取らなければならない」と明記し、「6月中にJCCを地域戦闘コマンドに設置」するよう求めている。
●各コマンドのJCCは、現在各コマンドに配置されている人員で構成する事になっている。またCSEはCYBERCOMの人員で運営される。しかし専門家が不足する中、その実効性には疑問の声も上がっている。
●実際、国防省の報道担当者も「即座に実行可能な状況にはない」事を認めている。また報道官は「この取り組みは、サイバー空間情勢の特殊性を鑑み、継続的な取り組みの中の暫定措置であり、完全なものではない。同時にサイバー脅威に対処するため、効率的かつ迅速に指揮統制や組織を改善していかねばならない」と説明している
●ただしパネッタ長官は人材不足の懸念を十分承知しつつも、「皆さんは更なる人材の必要性を懸念するだろうが、スピードも重要だ」と述べて危機感を臭わせている。
cyberStuxnet3.jpg●報道されているイラン核施設へのウイルス「Stuxnet」による攻撃は、米情報機関等による作戦で、地域戦闘コマンドの関与は殆どなかったと言われている。
●ただ今回の暫定措置は、上記のような世界中に影響を及ぼす高度な作戦を対象とは考えていないようで、もっと地域的に限定された米システムの防御や大きな軍事作戦の一部を成すようなレベルが想定されている模様。
●暫定措置計画は、地域限定のサイバー戦が困難で完全な影響封じ込めの実行可能性が低いことを強調しつつ、同時に作戦を遂行する中で戦場ネットワーク等を防御する行動を取る必要性も指摘している。
種々の課題を専門家は挙げている。例えば、JCCとCSEの関係が不明確で誤解を生じやすい、国務省や国土安全保障省との関係に触れていない、サイバー空間における交戦規定(rules of engagement)が不明確な中で具体策だけが先行するのは危険等々の指摘がある
●この暫定計画での教訓や意見を踏まえ、本年中に「A final framework」を固めたい、と国防省関係者は述べている。
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cyberStuxnet2.jpgかなり乱暴な抄訳になってしまい恐縮です
しかし、パネッタ長官や関係者の「(色々問題があるのは分かるが)スピードが重要」との危機感は感じていただけたかと思います。
サイバー戦は、ローカルな事象が瞬く間にエスカレートする特徴を持っており、以下の演習でもその恐ろしさが確認されています。一方で、サイバー戦が日常的になっており、米本土のCYBERCOMにいちいち対応をいらししていては間に合わない現状もあるのでしょう。
「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
シャングリラ・ダイアログでは、日本に対して「サイバーや宇宙分野で新たな協力分野を探したい」との呼びかけがありました。何が出来るのか・・・日本ほど本分野の人材不足が懸念される国もないと思うのですが。
「2012年シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-24
「日米サイバー協議の壁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-13
「Cyber Vision 2025等々」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-27
「軍需産業のサイバー対策強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-13
「NATO宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19

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