DARPAが核熱推進システム設計を3企業と契約

Nuclear Thermal Propulsion核熱推進との技術
「原子力ロケット」とも呼ばれることも・・・

DRACO2.jpg13日付C4isrnetは、DARPAがDRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)計画の一環として、「NTP:核熱推進」システムの設計契約を、3企業(General Atomics, Blue Origin and Lockheed Martin)と12日に結んだと紹介しています

「Cislunar Operations」とは地球と月の間の空間での宇宙作戦を意味しており、同空間での迅速機敏な移動を可能にする推進装置を、2025年までに「above low Earth orbit」で実現するため、「NTP:核熱推進」との挑戦的な分野にDARPAが乗り出したようです

DRACO.jpg担当のNathan Greiner空軍少佐は、「選ばれた企業チームは、先進原子炉、推進剤、宇宙船を設計開発する能力を有することを示したメンバーで構成されている」、「我々が追求するNTP技術は、宇宙における将来作戦を支える基礎となることを目指している」と声明を出しています

DARPAは具体的な契約金額を明らかにしていませんが、契約の「Phase 1」では、GA社がNTP用原子炉と推進サブシステムを設計し、Blue OriginとLockheed Martin社がそれぞれ独立して宇宙船を設計することになっており、NTP推進システムの能力をデモすることが主目的となった契約のようです

同少佐は、「Phase 1では、実際に宇宙空間でのデモを行う前段階として、リスク低減を目指すことになる」と述べ、後に続くフェーズ用の設計や関連システム設計製造に必要な検討と資を得ることが主眼となると語っています

まぁ、この報道だけでは「NTP:核熱推進」について全く理解できませんので、以下ではネット情報を拾ってNTPについて簡単にご紹介を「試み」ます

Nuclear Thermal Propulsion:核熱推進とは
NTP.jpgNTPとは、臨界状態の高温の原子炉の炉心に、液体水素などの推進剤を当てて超高温・高圧のガスにし、それを噴射するという単純なものである
ただしNTPロケットは理論上、これまでに実用化されたあらゆるロケットエンジンをはるかに超える、きわめて高い性能を出すことができ、有人月・火星探査はもちろん、その先の宇宙空間への飛行にも大きく役立つ技術だと言われている

最大の特長は効率がとてもよい点にあり、現在の燃料と酸化剤を燃やし、発生ガスを噴射するロケットと比べ、2倍以上も効率(燃費)がよい。つまり同じ量の推進剤でも、より速いスピードを得ることができ、約8か月必要な火星への片道の有人飛行期間を3か月程度に短縮する可能性があり、NASAが1960年代からコンセプトとして何度か取り組んできた
NTP3.jpgロケットはこれまで実用化されたことはないが、1950~70年代には米国とソ連でさかんに研究され、米国では「ナーヴァ」(NERVA)、ソ連では「RD-0410」といったエンジンが実際に造られ、噴射試験まで行われている

欠点は安全性である。打ち上げに失敗すれば、放射性物質が撒き散らされる可能性がある。NTPロケットはその仕組み上、炉心に当たって汚染されたガスを噴射することになるので、大気圏内で使うわけにはいかないし、地上で噴射試験をする場合にも細心の注意を払う必要がある(それでも1950~70年代には米国とソ連が実験を行っていた)

これら問題対処のため、最近では濃縮度5~20%の低濃縮ウラン(HALEU)を採用や、これを炭化ジルコニウム(ZrC)で被覆した頑丈な完全セラミックカプセル化燃料技術等が実用化され、実用化に再び期待がもたれるようになってきた
火星探査などへの活用を目指すNASAは2017年8月、3年計画で米国企業BWXテクノロジーズと組んで、エンジンや核燃料の設計、試験を実施すると発表していたところである
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NTP2.jpg全くの素人で、完全にネット情報つまみ食いのご紹介でしたが、従来ロケットの2倍以上の効率(燃費)を生かし、NASAが惑星探査用に本格開発に乗り出した技術を、米国防省は地球周辺での「Cislunar Operations」に利用しようとしています

怪しげな中国やロシアの衛星を、機敏に動いて無効化するような衛星作戦を考えているのでしょうか? DRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)との計画名からすると、そんなイメージがわいてきます

「NTP」とか、「DRACO」とか、「Cislunar Operations」とか、「核燃推進」とか・・・そんな言葉を記憶にとどめておきましょう・・・

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