7日、カーター国防副長官はナショナル・プレスクラブで講演し、国防省を取り巻く課題を訴えました。
講演の中から本日は、ヘーゲル長官が5月末を期限に命じた戦略レビューと、宇宙政策への取り組みについてAF-Magazine記事からご紹介します
ヘーゲル長官は29日の小野寺防衛大臣との皮切りに、カナダ、独、英、コロンビア国防相と相次いでワシントンDCで会談しています。特に29日の日本とカナダ2本立て、その後連続の独と英で、ヘーゲル長官はお疲れ気味のみだれ髪です。
そんな中、実務を仕切るカーター副長官は相変わらず精力的で、継続的な課題についてブルトーザーの様に推進しています
戦略レビューはSCMR
●ヘーゲル長官から命ぜられている「SCMR:Strategic Choices Management Review」については、「in the coming weeks and months」には提言を取りまとめたいと思う
●SCMRは、国防省が取り組むイラク・アフガンでの戦いから新国防戦略(12年1月発表:DSG)への移行を、予算の強制削減下で如何に行うかの基礎となるものである
●SCMRでは、「役割と任務」、「紛争対処計画」、「業務慣行」、「戦力組成」、「人的戦力と補償」、「装備近代化と取得調達」、そして「軍の作戦と体制維持」の分野についてレビューを行い。
●SCMR担当者は、上記の多くの分野で選択の枠組み構築に「大きな前進」を果たしており、他の分野でもより革新的に考えるよう強く促されている。
●検討は極めて広範囲に及んでおり、その結果は大統領や国防長官に報告され、2014年度予算執行や2015年度予算編成に活用される
宇宙での攻勢作戦
●予算が削減される中にあっても、新たな戦略環境に対応するため投資が不可欠な分野があると考えている。その一つが強靭な宇宙システム構築であり、宇宙で他者にチャレンジする能力保持である
●サイバー戦と同様に、宇宙システム全体でどこが防御可能で不可能か、いつ防御可能でいつ不可能かを明らかにする必要がある。そして例えば気象衛星や航法衛星が使用不能の際に、如何に作戦するかを考える必要がある
●国防省として初めて、対衛星技術や宇宙脅威に関する専門家を宇宙計画に投入し、宇宙システムの生存性向上を支援させる。
●また我々は、潜在的な敵に宇宙で対峙するオプションを保持しなければならない。我々に敵対する相手に宇宙を使用させない能力造成に投資する
本講演関連の国防省web記事は
→http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=119955
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久々に新たな分野への投資の話を聞いたような気がします。強制削減絡みで、減らす削る打ち切る話ばかりでしたから・・・。
宇宙を持ち出されると、スターウォーズ計画でソ連を破産に追い込んだレーガン政権を思い出しますが、今回はその線は難しいか・・・・
宇宙と言えば、話題の新書「戦略論の名著」(中公新書)の最終章に、宇宙の地政学を論じたドールマンの「アストロポリティーク」(2001年)が取り上げられています。
興味深いのは、宇宙開発を加速するため、宇宙における領有権を認めて経済的な競争を促せとの主張です。ご興味のある方は是非!
宇宙関連の記事
「国防省の新宇宙政策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-23
「衛星の強化や増加を!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-18
「宇宙ゴミ監視に新システム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-24
「NATO宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「日米サイバー協議の壁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-13
「サイバーと宇宙」カテゴリーの最新記事15本
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1