「陸軍国の軍人達から、航空戦力について当該国内で語ってほしいと依頼される」
米空軍省で国際関係を担当するGrant次官補代理が空軍協会のインタビューに答え、これまで米軍との関係が緊密でなかった国で「airpower:航空戦力」への関心が高まりつつあり、これを契機として米軍がパートナー関係を強化し、最終的には米国の負担を軽減できると訴えています
冒頭の言葉が、具体的にどこの国を示すのか不明ですが、特にアフリカやASEANの国との交流を語る中での使用された表現であり、発展途上にある国と想像できるでしょう。
9月17日のインタビューで同女史は・・・
●空軍省の国際関係部署は、世界中のパートナー国や同盟国等と空軍能力強化の革新的手法について協議を続けている。
●ある地域の複数の陸軍国では、当該国の軍人に頼まれ、軍人達と国防大臣を訪問して航空戦力について説明している。それらの国の軍は、空軍力が有効で効率的な事を当該国内に説明する手段を捜し求めているのだ
●これらの取り組みは短期的に結果を生まないかも知れないが、長期的には関係国の能力構築につながり、「米国の負担を軽減してくれるだろう」
●リビア作戦を振り返る時、米軍が最も貢献したのは空中給油やISR分野だった。これらの機能は、多国間の協力でまかなうことが出来る。例えばNATOや関係国が共同運用するC-17輸送機のような方式で。
●私は最近西アフリカ諸国から戻ったばかりだが、そこでの議論は国境を越えてくる脅威対処とISR能力共有の話だった
パートナー強化の文化育成が成果を
●米空軍は「partnering culture:関係強化の文化育成」の努力により、世界中の新しい関係国と接触を始め、歴史的にプレゼンスが比較的無かった地域に乗り出している。
●一つの焦点となる地域は東南アジアであり、ASEANのメンバー国である。そのうち2カ国は同盟国ではあるが。
●過去2年間にASEANの10カ国を訪問した。訪問は広く意見交換をすることが目的だが、相手国が「何を求めているか、どのような米国とのパートナー関係を望むか」を尋ねている
●太平洋空軍司令官もこの点に同意しており、カンボジアやベトナムとの関係の急速な発展や、長い歴史のあるシンガポールとの関係に言及している。更にブルネイにも招待されていることにも触れ、「ASEANとの関係は、私の印象では大変上手く行っている」と語っている
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「米国の負担を軽減してくれるだろう」との率直は発言振りは、「負担の共有」ではなく、「負担の移転」を狙いに米軍や米国が動いていることを示しています。時代の流れ、仕方が無いのでしょう。
陸軍国が航空戦力強化に関心を持っている・・・との部分は、恐らく発展途上国だろうと想像される複数の陸軍国も、技術の拡散や先端技術の威力を認識し、脅威の変化を警戒して対応に動いているということでしょう。
米軍やいわゆる先進国の軍隊が、過去の栄光や確立してしまった組織のしがらみに囚われ、装備や組織の変革に遅れをとっているのとは対照的に・・・
ロバート・ゲーツ語録
米空軍は、空対空戦闘と戦略爆撃に捕らわれすぎており、他の重要な任務や能力を無視しがちである。ある意味で空軍は、その成功の犠牲者とも言える
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07