27日、米空軍参謀総長のウェルシュ大将がCSISで講演し、9年前に米空軍が定めた30年後を見据えた戦略を「Pipe Dream:アヘンを吸って夢見る空想的な考え」と切り捨て、「財政を踏まえ」「現実的」な新たな戦略を策定中だと述べました
また、州空軍の海外派遣部隊への投入度合い見直し案に触れ、外部諮問機関NCSAFが米空軍に提言した36の組織改革提言に対する意見を述べました。
CSISでの講演で米空軍トップは
●9年前に制定された米空軍戦略「for the mid-20’s and beyond」は、「Pipe Dream:アヘンを吸って夢見る空想的な考え」である。とても財政的に達成出来るものではない
●米空軍は6月に、9年ぶりとなる新戦略を発表する予定である。「Strategic Agility:戦略的敏捷性」が今後30年間を見据える言葉・中心的コンセプトとなろう
●米空軍の戦略は1940年代に遡ることが出来、新しい中心的コンセプトは、過去からの「戦略爆撃」、「核抑止」、「AirLand」、「counterinsurgency」、「parallel warfare」、「Global Vigilance, Reach, and Power」に続くものとなろう
●大まかに言及すれば、脅威認識、意志決定や調達や資源配分の柔軟性、危機への対処要領、兵器の戦場への投射要領、他軍種との緊密な融合、人的資源の教育訓練や開発、科学技術、研究開発等の視点を通じ、2040-2050年の空軍に必要な要素を示す事になる
●本戦略は、米空軍が定めている13個の下部ロードマップや関連計画を包含するものとなり、それぞれとの整合性も求められる。一方で、戦略は呼吸する生き物であり、常に見直しや更新を続ける必要がある。そのため、2年毎のレビューと4年毎の更新を行うこととする。
●本戦略は「fiscally informed:財政状況を踏まえたもの」であり、何か新しいものを取り入れるならば、レビューや更新時に何かを捨て去る事をポートフォリオの原則とする
州空軍をより海外派遣部隊に
●米空軍は間もなく、より州空軍を海外派遣部隊(Air Expeditionary Force)に取り込む試みを開始する。州空軍幹部との戦力的な協議の結果、派遣期間と母基地勤務期間との比率を「1:5」に取り組むことになる。
●しかし、この派遣期間拡大を伴う比率変更には懸念もある。戦闘機クラスの派遣期間もその一つである
●このような懸念が有るため、米空軍は州空軍の戦闘機部隊に関し、1年間の制度試行を間もなく開始する。州空軍や予備役戦力の有効活用と、正規空軍の組織や規模維持、正規空軍から予備役や州空軍への人材の移行等々を適切に考えていく
外部機関の空軍改革案に不満
●1月にNCSAF(空軍構造に関する諮問機関)が報告書を発表して以降、米空軍はこれを熟読してきた。多くの提言に同意する部分はあるが、実行に移す前により分析が必要と考える部分について、検討を続けている
●11個の提言については完全に同意する。一方、25個の提言については、米空軍は「よりよく理解」したいと考えている。提言を実行した際の全軍に対する波及的影響について、より吟味が必要だ
●5個の提言については、「より分析が必要」だと米空軍は考えいる。予備役空軍コマンドの廃止に関する提言については、米空軍は「完全に不同意」である。
NCSAFの提言(容量大)
→http://www.airforcemag.com/DocumentFile/Documents/2014/NCSAF_013014.pdf
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「Pipe Dream:アヘンを吸って夢見る空想的な考え」とは強烈な表現です。「Pipe Dream」との表現は使えそうですが、TPOを十分に考えて使用すべき言葉だと思いますが・・・
ICBM部隊幹部の大量処分を発表した米空軍ですが、NCSAF提言への態度や、戦略の「2年毎のレビューと4年毎の更新」で変化に対応できるのでしょうか?
今すぐF-35の調達機数や戦闘機の位置づけ、無人機の位置づけ、サイバーや宇宙への投資、ミサイル部隊の位置づけ等を根本的に見直さなければ、組織が腐り、やる気喪失や不正が常態化する部隊が続々表面化するのでは・・と懸念いたします
ロバート・ゲーツ語録(http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19)
「ある意味で米空軍は、その成功の犠牲者と言える」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07